なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)のGK平尾知佳(23)が17日、国際親善大会の「She Believes Cup」(2~13日、アメリカ)を終え、新潟レディースの練習に合流した。3戦(3敗=スペイン、イングランド、アメリカ)したゲームでは、GK登録でただ1人出番はなし。だからこそ、東京五輪メンバー生き残りへ決意を新たにした。

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平尾の飛びっきりの笑顔から、闘志が時折、顔をのぞかせた。「She Believes Cup」3試合のピッチにはGK登録でただ1人立つことができず、悔しい思いを味わった。平尾は「過去のことは気にしない。未来に向かう。キーパーはシュートを止めてナンボ。止めるためにコーチングで味方を使い、時にはビッグセーブでチームを勝たせなければいけない」と、不出場でも言葉は力強かった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、なでしこリーグは第1、2節が延期となった。開幕が遅れることを、平尾は遠征先のアメリカで知った。「行く前には入国拒否されるかと思った。それより、帰国できないんじゃないかと覚悟していた」。遠征先ではホテル敷地外への外出禁止令が出るなど、異様な雰囲気の大会となった。そんな中、平尾はベンチから3戦全敗に終わったゲームを観察、分析した。「ミスから失点した。味方のポジションのコーチングが大事だと思いながら見ていた」。現状では東京五輪の開催さえ不透明になってきたが「毎日毎日を大切にして、1歩1歩成長していかなければ、オリンピックの道はない」と新潟Lの練習に日々集中していく。

各年代の代表で、平尾は主力GKとして活躍してきた。8強入りしたU-17女子W杯(12年=アゼルバイジャン)は準々決勝(ガーナに0-1)など4試合中3試合に先発。3位となったU-20女子W杯(16年=パプアニューギニア)は、正GKとして6試合のうち5試合でゴールマウスを守り、準々決勝、準決勝、3位決定戦と重要なゲームを任されてきた。しかし、A代表のなでしこジャパンでは19年4月、欧州遠征・ドイツ戦(2-2)など2試合の出場があるだけ。「チャレンジ精神旺盛なキーパー」と自分自身を分析する平尾は、そのチャレンジ精神で、控えGKの立場から東京五輪代表へと駆け上がる。【涌井幹雄】

◆平尾知佳(ひらお・ちか)1996年(平8)12月31日生まれ。千葉県出身。JFAアカデミー福島-浦和。サッカーは5歳から六実SCで開始。GKになったのは中1から。U-17W杯、U-20W杯出場。19年フランスW杯代表。173センチ、65キロ。血液型A。