サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督(52)が28日、日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネルで、新型コロナウイルスの影響で中止となった全国高校総体(インターハイ)、全国中学校体育大会を目指していたアスリートへメッセージを送った。

高倉監督は「自分が選手だったらということを考えれば、この様な最後の大会、または自分の力を試して、その先に、なでしこリーグや代表を目指していくんだと考えた時に、大会がなくなるのは本当に心の中に穴が開いてしまうようなショックや悔しさやもどかしさがあると思います」とその気持ちを思いやった。

ここまで積み重ねてきた練習や仲間との時間の重要性も説き「練習や仲間との大切な時間というのは消えるわけではないですし、そのことを仲間とまた共有しながら未来に向かっていくことは大事かなと思います」とアドバイスした。

また、自身の現役時代の経験も踏まえながらのエールも送った。32歳を迎えるシーズンだった00年に初の海外挑戦として米国へ渡ったエピソードを披露し「キャリアの最後の最後になって、アメリカでプロになりたいという強い思いを持ってプレーしていたことがあります」と回顧。しかし、渡米後に負った膝のけがでプロを諦めざるを得ない状況になってしまったといい「そんな時に助けてくれたのはやはり近くにいた仲間ですし、膝を治すためのプログラムを組んでくれたトレーナーがいたんですけども、その人に言われた一言は今でも私の心の中にあります。その言葉は『keep your head up』という言葉なんですけども、どんな時でも顔をあげていなさいという言葉でした。本当に心が弱っていたので、その言葉というのは自分自身にとって本当に前向きになれる言葉でした」と振り返った。

最後は笑顔で明るく呼びかけ「みなさんも今、本当にやり場のない絶望だったり、やるせなさがあると思いますけど、未来は続きますし、サッカーをここで区切ろうと思っていた選手もいると思いますけど、その先は続きますし、未来に向かってぜひ顔を上げて進んでいってほしいと思います」とアスリートたちの背中を押した。