日本代表の森保一監督(52)が、23日のG大阪戦で現役を引退した元鹿島DF内田篤人さん(32)にねぎらいの言葉を贈った。25日、オンライン上で対応。07年のU-20W杯にはコーチとしてともに出場した内田さんに「ウッチーは日本のサッカーと日本代表の勝利と発展にすごく貢献してくれた選手。自分のストロングなスピードがあって、常にうまくなりたい気持ちを持って、素直にいろんなことを吸収しながら成長していっている選手だった。感謝の気持ちをもって、これまでの大変な現役生活、お疲れさまでしたと伝えたい」と、功績をたたえた。

プレーだけでなく、経験からくる内田さんの言葉にも敬意を払った。引退会見で世界と日本の差について、内田さんは「違う競技だなと思うくらい、僕の中では違いがあると思います」と語った。森保監督は代表監督就任後に同じような考えを内田さんから聞いていたことを明かし「日本人指導者として胸につきささる、すごい言葉をもらったなと思う。代表活動をしている中でも、その言葉を忘れずに、世界を追い越すために何をしないといけないのか、言葉から活動の中身に変えていけるようにしていきたい」と、うなずいた。「個の強さとうまさが上がっていけば、日本人の技術力と組織力が生かされて、世界で勝っていけることになると思う。内田が言ったことについては、インテンシティ(プレー強度)とデュエル(決闘)という、フィジカル的な強さとうまさの部分かなと思っています」。

千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドで自主トレをしていた4大リーグの代表選手たちから「ボールを奪う力が必要だと感じた」「打撲が増えた」といった、主戦場で得た話を耳にし、局面での個の強さとうまさの両立が必要だとあらためて実感していた。23日(日本時間24日)にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)がパリ・サンジェルマン(フランス)に1-0で勝利した欧州CL決勝からも「日本代表の戦い方でも目指していきたいところ。世界で勝つためにインテンシティという体力的な部分を世界基準に上げ、日本の良さの技術力、組織力を生かしてうまく使えるように、相手のエネルギーそげる戦い方ができれば」。そこに内田さんの引退会見での言葉を耳にし、日本代表が進むべき道筋を再認識した。

引退後の活動が未定の内田さんには「サッカーの現場で指導者として働いてほしい」と期待した。「将来的には日本のサッカーの発展に貢献してもらえる経験を持っている人。ぜひ現場で経験を生かして選手を育ててほしい。ウッチーの言葉をいろんな人に伝えてもらえると、日本の指導者にもすごく響くものがあるのではないかなと思う。(内田の言葉は)否定的ではなくて、すごくポジティブな、どこを目指せばいいかという提言。多くの人に聞いてもらえればいいなと思う」と、願った。【浜本卓也】