日本代表が5日、今年初めての活動となるオランダ遠征の初日を迎えた。合宿地ユトレヒトでの初練習前にMF久保建英(19=ビリャレアル)がいの一番に、オンラインで取材対応した。

日の丸を背負う選手の1人として、コロナ禍でサッカーのある日常を奪われた子どもたちに希望を与えるプレーを誓った。日本は9日にカメルーン、13日にコートジボワールと国際親善試合を行う。

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オンラインの画面越しでも、19歳は変わらぬ顔つきだった。約1年ぶりとなる代表活動。久々に先輩らと顔を合わせ「このような状況で、こうして各国の選手たちが集まることができるのは有意義だと思う。無駄にしないよう、2試合を、力を合わせて戦いたい」と気持ちを新たにした。

コロナ禍を経験したことで、練習や試合を問わず、サッカーができる日常のありがたさや、環境作りに力を注ぐ人々への感謝の思いを強くした。今回の代表活動では、今までにない、特に強い思いを抱いてやって来た。「外に出られない子どもたちが、『こんな状況でもサッカー選手になりたい』と思ってもらえることが自分にとっては一番」。

自粛期間など、サッカーができず、試合も観戦できない期間が長く続いた。プロサッカー選手を志す子どもたちを思い、続けた。

「もし自分が、今年例えば10歳だったら、サッカー選手という夢が1歩遠のく感覚を持ったと思う。それを自分たちがプレーで払拭(ふっしょく)するじゃないですけど、『いやいや、サッカー選手になれるし、いろんな人の協力は必要だけど、選手は非常にすばらしい職業だ』というところを見せていくのが大事だと思う」

自信はある。昨季はマジョルカで、スペイン1年目ながら4得点4アシストを記録。「格上や同格の相手と、互角以上に渡り合えた。1段階上のレベルにいられている」。前線の選手として、国際Aマッチ初となる得点が期待されていることも理解している。「どのチームが相手でも狙っている。(自身のゴールは)チームが勝つための選択肢として考えたい」。はっきりとした口ぶりで語った。

コロナ禍で3月や6月、8~9月の代表活動がなくなったことで、日本代表最年少得点記録更新の可能性はなくなった。だが、日の丸を背負ってピッチで躍動する姿、それこそが、コロナ禍の子どもたち、さらにはサッカーを愛する人々の勇気と希望になる-。そう信じて、久しぶりのこの2試合をプレーする。【岡崎悠利】