サッカー日本代表のオーストリア遠征はスタートから波乱に見舞われた。初選出のMF奥川雅也(24=ザルツブルク)が、新型コロナウイルスの影響で活動に参加できなくなる見通しとなった。

オーストリア1部リーグのザルツブルクが9日、公式サイトで6選手に陽性反応が出たことを発表。これを受け、代表に招集されている所属選手の派遣を見送ることを決定した。

ザルツブルクによると、奥川を含めた全選手にPCR検査を行っているという。日本協会は招集する選手に対して事前にPCR検査を実施しているが、奥川は追加招集だったため対象外だった。奥川自身はまだ日本代表合宿には合流していなかった。

今回はFWの軸である大迫を招集できず、MF堂安もメンバー発表後に不参加となっていた。新型コロナの感染拡大が深刻化する欧州。現地オーストリアも堂安の所属するビーレフェルトのドイツもロックダウンを再導入。そのため、渡航すると、帰国時に隔離の必要が生じるため、クラブが招集を拒否した経緯があった。その堂安の不参加を受けて急きょ招集された奥川もコロナの影響を大きく受けることになった。

チームは10月のオランダ遠征を乗り切ったノウハウを生かし、宿舎を貸し切って、外部との接触を絶つなど予防策に万全を期している。森保監督は、この日のリモート会見で「コロナの感染拡大の世界情勢を考えたときには中止になることも考えられる。覚悟しないといけない」と警戒感を口にしていたが、その直後に奥川の問題が起きた。

合宿地であるオーストリアもロックダウン中。感染拡大は同国のザルツブルクにも及んでしまった。指揮官は「相手や地域で(問題が)起こることで活動が難しくなることももちろん考えておかなければいけない」と、厳しい状況下でチームを束ねる責任も語った。来年3月のW杯アジア2次予選に向けた最後の代表活動は新型コロナの「強烈な第2波」をもろに受けた逆風の中でのスタートとなった。【岡崎悠利】