東日本大震災から11日で10年がたつ。日本代表と東京五輪世代のU-24(24歳以下)日本代表を率いる森保一監督(52)が9日にオンラインで取材に応じ、当時の記憶や被災地を訪れて目の当たりにした光景、長い道のりとなっている復興への思いを語り、日本代表監督として、あらためて人々に勇気を与える戦いを続けていくことを誓った。

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森保監督は静かに語った。「復興に向けて多くの方々が尽力して、確実に進んでいるが、すべて元通りになったわけではない。少しでも穏やかに暮らせるようになることを願いたい」。人々に元気や希望を届けるスポーツ。日本代表の監督という立場から、10年の節目を迎える被災地を思った。

現役時代の最後の2年を仙台で過ごした。「東北の皆さんに応援してもらって、幸せに現役を終えることができた」。現地の人々の温かさが今も胸に残っている。震災後しばらくして現地を訪れた。住んでいた場所や小高い丘から見下ろした光景が脳裏に焼き付いている。「道を走っているだけでも、もしここで地震がきたら自分もどうなるかわからないという思いだったのを覚えている」。胸が締め付けられるような感覚を忘れることはない。

あれから10年、震災当時は新潟のコーチだった。広島の監督として3度のリーグ制覇、日本代表コーチとして18年W杯ロシア大会を経験し、A代表と五輪世代の兼任監督になった。結果を追い求めつつも「代表として特別なプレーを見せるのもあるが、ひたむきに一丸となって粘り強く戦い抜く姿勢を見せることが、大変な思いをしている人たちに励ましになる」。日本代表の存在意義を、こう語った。

今月はA代表がW杯アジア2次予選、U-24日本代表も東京五輪に向けた年内最初の活動を予定している。「日本の選手は支え合って戦っていると思ってもらえるようにしたい」。力を結集させ、困難に打ち勝つ姿を見せたい-。使命感を胸に戦い続ける。【岡崎悠利】

▽森保監督は、浮上している3月末の韓国との国際親善試合について「試合はやるかもしれないと聞いているが、決定とは聞いていない」とした。25日にW杯アジア2次予選でミャンマーと対戦する予定だったが延期となり、代替試合を模索している。また、開幕から3戦4発と絶好調の38歳、C大阪FW大久保について聞かれ「ゴールに至るまでのDFの外し方とか、シュートの質は素晴らしい」と高く評価した。

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