日本サッカー協会(JFA)は27日、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督(53)が任期満了に伴い、8月末をもって退任することを発表した。

16年4月に監督に就任。A代表を女性監督が率いるのは初めてだった。19年女子W杯はベスト16で敗退し、12カ国で争った東京オリンピック(五輪)ではベスト8に終わった。

高倉監督はオンラインで会見し、「五輪は1つの区切りだと思っていたので、もしメダルが取れていたとしても、退くときなのかな、と思っていた。任期満了で立場を離れることに対して、ネガティブなことは何もないし、次にバトンを渡す時が来たのかなと思っています」と話した。

五輪での戦いに対する世間の厳しい声は、高倉監督の元にも届いていたという。「選手が自信や勇気を抜かれていくさまを見る中で、私も初めての感覚でしたけど、非常に難しい戦いだったなと思います。観客もおらず、誰にも応援されていないんじゃないかという感覚になったり、その中で勇気を奮い立たせる難しさを感じていた。(準々決勝では)よく持ち直してくれたと思う」と、最後の試合となったスウェーデン戦で、強豪相手に内容で渡り合った選手をねぎらった。

コロナ禍での東京五輪1年延期の影響を強く受けた。1年以上国際親善試合を行えず、ようやく試合が実現した今年4月と6月も、格下としかマッチメークができなかった。「振り返ると、難しい1年延期になったと思う。五輪まで1年半、海外の強豪と試合ができず、(五輪では)初戦から相手のスピード、パワーを受けて立ってしまった。エンジンがかかる、世界の強度に対応できてきたところで、試合が終わってしまったところが正直ある」と悔やんだ。

高倉監督によると、協会内から「進むべき方向は大きくずれてはいないんじゃないか、という話は出ている」という。「結果が良くなかったことで全てを否定するのではなく、積み上げてきたものを信じて、立ち上がって、前に進んでいくことが大事」。手応えを得た部分も、課題が浮かび上がった部分も、よく精査して今後の強化につなげていきたい。