日本のエースが貴重な勝ち点3を引き寄せた。オマーンとの初戦に敗れて迎えた中国戦で、FW大迫勇也(31=神戸)が前半40分に“カンフーキック弾”を決め、それが決勝点となった。負ければ日本のW杯出場と自身のエースの地位も揺るぎかねない危機だったが、自らの得点で払拭。国際Aマッチで得点した試合の無敗記録も伸ばした。10月は強豪のサウジアラビア、オーストラリアと対戦する。エースの「不敗神話」継続は心強い。

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Jリーグに復帰した31歳のエースは満足感に浸ることはなかった。「半端ないカンフーキック」で日本を勝利に導いた大迫は「しっかり神戸で結果を出さないと代表には呼ばれない。危機感を持ちながら自分のプレーを出していきたい」。強豪のサウジアラビア、オーストラリアとの戦いが控える10月に向けて引き締めた。

欧州の怪物にたとえられた鮮やかなゴールだった。中国戦の前半40分、MF伊東の高速クロスにジャンプし、右足ハイキックで押し込んだ。DAZNの裏チャンネルで解説した元日本代表DF内田篤人氏とタレント矢部浩之からは「イビラヒモビッチのよう」と絶賛された。

今夏、ドイツ2部ブレーメンから神戸に移籍した。合流前、内田氏に練習に付き合ってもらった。内田氏は「やっぱ、うまい。右手のグイが違う」と、独特の言葉で体を張ってボールをキープする能力を表現する。中国戦の決勝ゴールも、右手のブロックで相手を寄せつけず「右手のグイ」を発揮したものだった。

2日のオマーン戦は徹底マークを受け仕事をさせてもらえなかった。得意のポストプレーも精彩を欠き、黒星発進。連敗となれば、日本のW杯連続出場と自身のエースの座も揺らぎかねなかった。「1戦目(オマーン戦)はふわっと入ってしまった。それが負けた原因。この2試合目にかけて、しっかりと危機感をチームで持てるようにとは考えました」と強い決意で臨んでいた。

この決勝ゴールで、得点した国際Aマッチは12勝2分けと「不敗神話」を継続した。もっとも、W杯最終予選に限れば、17年6月のイラク戦(1△1)と今回の中国戦の2得点にとどまる。前回の最終予選は中堅だったが今はベテラン兼エースと立場は変わった。「確実にやるべきことは増えていると思う。責任感も覚悟も最終予選となればなおさら」。「不敗神話」を継続していけば、必然とW杯への道はつながる。【岩田千代巳】

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