サッカー日本代表は今日12日、ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のホーム、オーストラリア戦(埼玉)に臨む。引き分け以下なら、森保一監督(53)の解任の可能性もあり、東京の長谷川健太監督(56)が後任候補に挙がる。まさに崖っぷちの状況だが、森保監督は悲愴(ひそう)感を見せず、腹をくくったかのようにいつもどおりを強調した。7大会連続のW杯出場に望みをつなぐか、一気に視界がかすんでしまうのか。いよいよ大一番を迎える。

<データで見た森保監督>

◆3度のJ1制覇 森保監督はJ1でリーグ戦通算187試合92勝40分け55敗の好成績を残した。12年に2年連続7位だった広島の監督に就任。1年目でリーグ優勝を果たすと、13、15年にもJ1制覇。3度の優勝は07年から3連覇した鹿島のオリベイラ監督に次いで史上2人目で、日本人監督では初めてだった。毎年のように代表クラスの主力が他クラブに移籍したが、若手を育成しながらチーム力を高め、15年には94年のV川崎(現東京V)以来、21年ぶり2チーム目となる「最多得点&最少失点V」を達成した。

◆光った交代策も今は昔? 15年の広島は森保監督の采配がとにかくはまった。先発をほぼ固定して戦いながらも途中出場選手が活躍。現代表FWの浅野が8得点を挙げるなど交代で出場した選手だけで計12得点。途中出場選手のアシストも最多5回を数えた。当時は年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)があったが、G大阪との決勝第1戦で後半出場のMF柏が1アシストと決勝点で逆転勝ち。同第2戦もエースFW佐藤と交代で出場した浅野が年間優勝を決定づけるゴールを挙げた。それが代表監督では完全に不発。今年5月以降の7試合で延べ31人が途中出場したが、得点は6月15日のW杯アジア2次予選キルギス戦でのDF佐々木の1点だけ。

◆3度のタイトルマッチ敗戦 18年7月に代表監督に就任し、国際Aマッチ通算41試合28勝5分け8敗と大きく勝ち越し。欧州の強豪国との対戦が少ないこともあってか、勝率(白星率)68%はJリーグ創設以降ではオシム監督とアギーレ監督の60%を上回り最高だ。ただ、いわゆる「タイトルマッチ」では勝負弱さを露呈し、19年アジア杯決勝でカタールに1-3で敗戦。東京オリンピック(五輪)代表監督としても18年アジア大会決勝で韓国に1-2で競り負け、今年8月の東京五輪3位決定戦ではメキシコに1-3と完敗し、53年ぶりのメダルを逃した。