東京五輪代表だったMF田中碧(23=デュッセルドルフ)が、初出場となったW杯予選で先発し、先制点となる日本代表初ゴールを挙げた。国際Aマッチ3試合目で救世主になった。

前半8分に左の南野から1バウンドしたパスが届く。右サイドを駆け上がった田中は右足を大きく、派手に振り抜いた。ゴール左隅に日本代表初ゴールが決まった。右手を突き出し、両手を広げて喜んだ。

「僕の人生の中でこれ以上、緊張することはないくらいだった。責任もそうだし、日本サッカーの進退がかかった試合でもあった。この試合が終わって、引退してもいいと思えるくらい、後悔のないゲームをしたいと思っていた」

日本代表は19年12月のE-1東アジア選手権で2試合出場して以来。今回は柴崎に代わり、約1年10カ月ぶりに抜てきされた。初めて並んだボランチ3人の中で流動的に動いた。「僕自身初めてで練習する時間もなかった。なかなか難しかった。ただ結果として勝てたのはよかった」。

東京五輪では全6試合に先発し、今夏に川崎Fからドイツへ渡った。小学校の途中から川崎Fの下部組織で「ボールも触れるし、ゲームにずっと関われるのが楽しかった」。その思いが現在の頑張りの源だ。

「ここ(試合前の会場)に来る時、5歳くらいの子どもがユニホームを着て僕らのバスの写真を撮っていた姿を見て、夢を与えないといけないとすごく感じた。ここまで納得いく結果じゃないが、全部勝てば行けると信じている」。7大会連続のW杯へ、田中が主力ボランチの一角に割り込んだ。

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