サッカー日本代表(FIFAランキング23位)が6月6日、国立競技場で最多5度のW杯制覇を誇るブラジル(同1位)と対戦する。日本協会が27日、国際親善試合として開催を発表した。ブラジルはベストメンバーでの来日が予想され、先発11人の市場価値は合計で約680億円と日本の7倍以上。国内での対戦は01年コンフェデレーションズ杯以来21年ぶりとなる。W杯8強以上を目指す日本にとって、貴重な強化の場になる。

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最強軍団ブラジルが最高の状態でやってくる。時差調整に苦しみ、観光気分で来日した過去とは違う。

ブラジルは6月11日に、オーストラリアでW杯南米予選のアルゼンチン戦を控える。ともに本大会出場は決定済みだが、南米最大のライバルには負けられない。

その一戦に向けたツアーで、まず同2日にソウルで韓国と対戦。選手のほとんどが欧州でプレーしているが、日本と時差がない同国で1試合をこなすことで、時差ぼけはある程度解消される。その4日後の同6日、日本戦で国立のピッチに立つ。極東アジアの気温にも慣れ、ベストコンディションと予想される。アルゼンチン戦に向けた最後の調整試合として、FWネイマールらベストメンバーを試すことが考えられる。先発11人の市場価値の合計は約680億円と日本の約93億円を大きく上回る。

実力で劣る日本は惨敗する可能性もあるが、それは森保監督が望むところ。4月1日のW杯組み合わせ抽選後、日本協会に対し「とにかく強いチームと試合を組んでほしい」と要望していた。

日本協会はこの試合を組むため、ブラジル連盟に3億円(推定)を支払ったという。W杯8強以上を目指す同協会の果敢な投資で実現した。

日本はW杯1次リーグで、優勝経験のあるドイツ、スペインと同じ組に入ったが、ネーションズリーグを戦う欧州の主要チームとは親善試合を組むのが困難という事情があった。今回のブラジル戦は、ドイツやスペイン対策ではなく、強い相手と腕試しすることで現在の日本の立ち位置を把握。今後の方向性や課題について選手、監督が認識することが重要と考えた。負けて非難されることも覚悟の上で、W杯までチーム力を極限まで上げるための選択だった。

森保監督は「W杯を見据えて準備を始めていくこのタイミングでランキング1位のブラジルと対戦できることを大変うれしく思います。リスペクトはするも過度の相手を見上げることなく同じ目線で戦えるチームをつくりたいですし、この試合でもそうした姿勢を見せていきたい」とした。

過去の対戦成績は日本の2分け10敗。直近は17年11月で、フランスで行われた国際親善試合に1-3で敗れた。国内では引き分けだった01年コンフェデレーションズ杯以来。新国立での国際Aマッチは初めて。ベストコンディションの最強軍団と最高のピッチ。夢の舞台は整った。【盧載鎭】

◆日本のブラジル戦 国際Aマッチ通算12試合で2分け10敗と未勝利で、計5得点、34失点。直近の対戦は17年11月10日にフランスのリールで行われた国際親善試合。日本は前半だけで3失点して1-3で敗れた。FWネイマールには4試合連続で計8得点を許しており、14年10月14日のシンガポールでの国際親善試合ではそのエースFW1人に4ゴールを奪われた。なお、Aマッチではない五輪本大会では1勝1分け1敗。96年アトランタ五輪の1次リーグ初戦で1-0と競り勝って「マイアミの奇跡」を起こしている。