日本(FIFAランキング23位)がガーナ(同60位)に4-1で勝った。11月開幕のW杯カタール大会出場国同士の戦いを制した。MF久保建英(21=マジョルカ)に国際Aマッチデビューから3年、実に17試合目で待望の初得点が生まれた。FW三笘薫(25=サンジロワーズ)も久保の得点をアシストするなど、鋭い突破で1得点1アシストと左サイドで躍動した。トーナメント形式で争うキリン杯。14日の決勝(パナスタ)で日本は、W杯に出場するチュニジア(同35位)と対戦する。

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あふれたのは安堵(あんど)の思いだった。「長かった。このまま一生入らないんじゃないかという思いもあった」。いつもゴールを決めれば、顔をくしゃくしゃにして喜ぶ久保だが、喜びは控えめ。肩の荷が下りたような表情だった。

後半28分、三笘の左からの折り返しを左足で合わせ、ガーナを突き放す3点目を挙げた。日本代表史上2番目の年少出場記録をつくり、最年少得点記録の更新も期待されていた。そこから3年-。コロナ禍で試合がない時間もあったが、ゴールは21歳6日。本当に長かった。

国立で敗れた6日のブラジル戦は出番なし。「なんで出してくれないんだよと思った。自分が出ていたらもっとやれたと思っていた」。そんな悔しさを胸に先発。序盤に相手と交錯し、足を痛めたが「交代したら(もうチャンスは)ないなと」。生き残りへの思いに、突き動かされた。

誕生日だった4日の取材では、いつになく穏やかだった。「21歳になったときに、いろいろ考えて吹っ切れた。そこから、練習でも見違えるように自分でも軽くなったと思う」。“日本の希望”として10代のころから大きすぎるほどの期待を背負ってきた。バルセロナで育ちレアル・マドリードに移籍。昨夏の東京五輪ではチームの看板だった。

しかし、二十歳の1年は初めての大けが。膝を痛め長期離脱。復帰したが、クラブにも代表でもポジションを失っていた。久保建英は常に光り輝いていなければならない-。そんな気負いは消え、開き直ったように見えた。実際にどう考えたのか? そう問うと「企業秘密です」と返したが、ガーナ戦を迎える表情も、すっきりとしていた。

ようやく決まった1点。W杯本大会へ、チーム内の序列を覆すことができたかは分からない。ただ、足がかりになるゴール。「ここからいっぱい取れればいい。うれしいけど、たかが1点。これがスタート」。この男のゴールは、カタールのピッチに立つことだけではない。【岡崎悠利】

◆久保の現状 主戦場とする4-3-3の右FWは伊東、堂安に次ぐ3番手。W杯アジア最終予選の途中で布陣は4-2-3-1から4-3-3に変わり、得意とするトップ下がなくなったことで出場機会は減っていた。この日は右インサイドハーフでプレーできることも証明。ただインサイドハーフには田中と守田に加え、今回の活動で鎌田、原口も評価を上げている。それでも激戦区のMF/FWで複数ポジションをこなせたのは収穫だった。

 

▽日本協会の田嶋会長(試合後) いい守備をしていたが、1つのミスが失点につながることを、W杯に向けてチーム全体で気をつけていかなければ。後半は若い選手たちも躍動していた。次のチュニジアもW杯出場国であり、いい試合を期待したい。

◆キリン杯 78年に日本代表強化を目的に創設された、複数の招待チームにより優勝を争う大会。当時の名称は「ジャパン杯」で85年から現大会名に。92年からFIFA公認の国際Aマッチに。近年は国際試合の日程の影響で開催されない年が多く、最後に開催されたのは16年で、日本はブルガリアに7-2と勝利も、ボスニア・ヘルツェゴビナに1-2で敗れて優勝はならなかった。

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