【ボーフム(ドイツ)=西村友通信員】ボーフムMF小野伸二(28)が14日、06年W杯ドイツ大会以来、2年2カ月ぶりに日本代表復帰を果たした。親善試合ウルグアイ戦(20日、札幌ドーム)の代表メンバー19人が発表され、小野が第2次岡田ジャパンに初めて招集された。98年W杯フランス大会に出場した当時18歳の天才MFが、10年ぶりに恩師と「再会」。新天地ドイツで輝きを取り戻しつつある男が、W杯アジア最終予選の司令塔候補に名乗りを上げた。

 小野の前に、日本代表の扉が開いた。チーム練習終了後、代表返り咲きを伝えられると「いい刺激を受けられるのでうれしい。まだ何も始まってないけど、試合で結果を出したい」。日本協会から今月上旬に招集レターが届いていたが、「選ばれる確率は50%くらいと思っていた」と、初招集のようにはにかんだ。

 小野

 代表のことは考え過ぎないようにやってきた。チームで毎日、一生懸命やってきた結果が今回につながったと思う。岡田監督とはまだ何も話していないが、まずはチームの雰囲気に入りたい。

 新天地をドイツに求め、今年1月にボーフムに移籍した。昨季はトップ下でリーグ12試合に出場し0得点2アシスト。数字には表れないが、スルーパス、サイドチェンジを武器に攻撃の起点となった。凱旋(がいせん)試合となった先月31日の横浜戦では、大熊コーチら代表スタッフが見守る中で、「小野健在」を示していた。

 この日、メンバー発表の会見で岡田監督はこう話した。「今回はW杯アジア最終予選に必要な選手を集め、人数合わせは避けた。将来的にテストしたい選手の1人として(小野)伸二を選んだ。昨シーズンはけがをしていたが、練習試合、ドイツカップの2試合を見て、可能性はあると」。攻撃面で課題を残す岡田ジャパンの「救世主」としての期待をうかがわせた。

 中村俊がグロインペイン症候群の手術を受け、遠藤も本調子でない中、司令塔候補となる。

 リーグ開幕(16日、カールスルーエ戦)に向け、小野は14日の練習でもレギュラー組のトップ下でプレー。「まずは開幕戦に集中。そのコンディションを維持し、代表でも仕事ができれば」。自らの進化を証明するには、絶好のチャンスが巡ってきた。