<アジア杯予選:バーレーン1-0日本>◇28日◇1次リーグ◇A組◇マナマ

 【マナマ(バーレーン)28日=井上真、北村泰彦】岡田ジャパンが「ショッキング」な完敗を喫した。W杯最終予選でも同組のバーレーンに0-1で敗れた。前半24分に課題だったFKからあっさりと失点。攻撃に転じてもミスを繰り返す屈辱的な敗戦だった。中村俊や遠藤、闘莉王ら主力不在とはいえ、W杯最終予選が佳境を迎えるこの時期に、選手層の薄さを露呈。岡田武史監督(52)の采配も、攻め手を欠いたチームに変化をもたらすことができなかった。この敗戦により、ベスト布陣で臨む2月11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(日産ス)の結果次第では、監督の進退問題が再燃する可能性が出てきた。

 土気色の顔が岡田監督の精神的ダメージを物語っていた。試合後の会見でうつろな視線で敗因を分析した。「前半は選手同士の距離が遠くボールが回らなかった。後半は修正して流れが出たが、最後の工夫が足りない。あれだけ中盤でミスパスが多くては…」。相手のマチャラ監督にも「日本の出来が悪かった」と酷評される屈辱的な敗戦。現地の報道陣に「恥か?」と問われ「恥かどうかは別として、ショックというか…、非常に残念」と返した。

 ぶざまな試合だった。この1年間で4度目の対戦となるバーレーンに、サイド攻撃を止められた。右サイドバックの内田が2人にマークされ、左の長友のオーバーラップも生かせなくなった。カバーに回ったDF寺田のサイドを狙われ、何度も突破を許した。「篤人(内田)のサイド攻撃が日本の武器だと知っていて、相手の14番がフタをしていた」と中村憲。研究されていた。

 前半24分には課題でもあったFKからの失点で先制された。MF稲本、本田の欧州組も攻撃のリズムをつくることができなかった。「出来ることを何も見せられなかった」(本田)「相手の方がコンディションが良かった。前半はそれが顕著に出た」(稲本)。MF中村俊、遠藤頼みの人材難も浮き彫りにした。

 前半まで大声で指示を出していた岡田監督も、後半20分すぎからは、ベンチ前で立ち尽くすだけだった。終盤に攻撃陣3人を投入したが、単調な攻撃を打開することができなかった。「誰が出場しても一定のレベルの試合をできるように」と、新戦力を試してきたが、現実は程遠かった。

 試合後、日本サッカー協会の田嶋専務理事は「誰が見ても悪かったと思う」。昨年11月のカタール戦後、犬飼会長は惨敗したメツ監督がホームの観客から罵声(ばせい)を浴びる姿を見て「ホームでも0-3ではそうなる。日本でも同じ」と話していた。2月11日のオーストラリア戦で大敗するようなら、一気に監督の進退問題に発展する可能性もある。

 岡田監督は「オーストラリア戦への教訓にしたい。残念で悔しいが、今後に生かしたい」と締めくくった。オーストラリア戦後の3月28日には今度はW杯最終予選でバーレーンと顔を合わせる。アジア杯予選での「1敗」では済まされない。岡田ジャパンの弱点、その弱点を克服できていないことを、ライバルに知られた極めて深刻な敗戦でもあった。