<国際親善試合・キリン杯:日本4-0チリ>◇27日◇長居

 FW岡崎慎司(23=清水)が、岡田ジャパンの「救世主」になる。前半20分、24分に先制点、2点目とゴールを連発。大勝の原動力になった。今年に入ってAマッチ6戦5得点と断トツの得点王。攻撃陣の軸となっていたFW田中達を故障で欠き、FW大久保ら体調不良者が続出する中、「清水の岡ちゃん」が、勝てばW杯出場が決まる最終予選ウズベキスタン戦(6月6日、タシケント)に向け、日本の得点源になる。

 泥臭く、力強く奪ったゴールが岡田ジャパンの光となった。前半20分、本田のミドルシュートを相手GKがはじいたところに、岡崎が鋭く反応した。「こぼれ球を狙っていた。これがプレースタイルなんで」。点取り屋のきゅう覚を見せつけた一撃だった。

 直後の24分には追加点を奪った。攻撃参加したDF中沢のスルーパスに走り込むと、チリDF2人のプレッシャーを受けながら右足を振り抜いた。故障と体調不良者に悩まされる日本のFW陣の中で、「点を取ることでしか自分の価値は出せない」と話していた通りの結果で価値を証明した。

 岡田監督が選手に強調する「簡単に倒れるな」という言葉を体現する。シュートを放つまで粘り強くバランスを保ち続けた2点目はまさに真骨頂。所属する清水の杉本龍勇フィジカルコーチと300メートル走×10本のメニューを中2日で繰り返して鍛え上げた体幹の強さが「バランスを崩しながらシュートを打てたり、持ちこたえることができる」という持ち味をつくった。

 目標の選手は磐田FW中山雅史だ。「高校時代にプレーを見て、そのひたむきさが自分の目標とするところ」。その中山が代表でつけていたエースナンバー「9」をこの日、代表10試合目にして初めて背負った。「9番にこだわりはないけど、ゴン(中山)さんと同じ番号だなと意識した」。あこがれの点取り屋と同じ番号、同じスタイルで日本の勝利に貢献した。

 代表と清水で本職のFWではなくサイドや1・5列目を任されることが多く「自分の原点はFW。(違う位置で)原点が分からなくなった」と悩んだこともある。それでも「得点がすべて。中盤でも点が取れれば楽しい」と割り切ることで、この日もサイドで前線で幅広く躍動できた。

 岡田監督は「岡崎はストライカーらしいストライカー」とこの日のプレーを称賛した。今年に入り代表戦で5得点は、断トツで日本の「得点王」。得点力不足という日本の最大の課題を解消できる存在となる可能性を秘める。「故障者などが多いから今回はチャンスだと思う。この機会にレギュラーに定着したい」。日本をW杯に導く活躍を見せれば、不動の9番の地位も近づいてくる。【菅家大輔】