後任人事が大幅に遅れていたサッカー日本代表の新監督に、元ACミラン監督でイタリア人のアルベルト・ザッケローニ氏(57)が決まった。日本サッカー協会の大仁邦弥副会長(65)が30日、都内で会見し、新監督就任を発表した。日本協会は元アルゼンチン代表監督のホセ・ペケルマン氏(60)らと並行して交渉を続けていたが、この日までにザッケローニ氏と基本合意した。29日に来日していた同氏は、31日に都内で就任会見に臨む。9月4日のパラグアイ戦(日産ス)、7日グアテマラ戦(長居)はスタンドで観戦する。

 もめにもめた後任監督は、最終的に日本代表監督初のイタリア人に決まった。29日朝に来日し、午後には都内で小倉会長、原博実強化担当技術委員長と会い、新監督就任で合意した。この日、会見した大仁副会長は「ザッケローニ氏とは前から交渉を進めてきた。本人と原委員長が直接会って基本的に合意した。小倉会長も会い(監督就任は)了承している」と説明した。

 29日の段階で大筋で合意していたが、この日の午後に欧州にいるザッケローニ氏の代理人と弁護士を交えて細部を詰め、日本時間の夕方に最終確認が取れ、サイン入りの文書で基本合意に達した。午後11時すぎにザッケローニ氏は日本からイタリアの幼なじみで親交が深い記者に直接電話して「日本代表の監督になれて非常にうれしい」と話したという。同記者は「とても満足している様子だった」と明かした。

 ザッケローニ氏はACミラン、ユベントスなどセリエAの名門で実績を残した。守備的なサッカーを基調とするイタリアのサッカー界にあって、3トップを駆使した攻撃的サッカーは独自色があり、注目を集めてきた。98-99シーズンにACミランの監督としてスクデット(リーグ優勝)を獲得した。大仁副会長は「選んだ理由など、詳しいことは明日の会見で」と話すにとどめたが、原委員長がかねて強調していた「レベルの高い欧州リーグで実績を築いた人物」との条件に合致していた。

 30日付イタリア紙レプブリカは『ザック、新監督として日本へ』と題し、「昨日、ザッケローニは日本サッカー協会と契約するために日本へ向かって出発した。契約は年俸236万ドル(約2億円)の2年契約で、2年間延長のオプションが付いている。ただ日本は世界ランク32位。監督になっても課題はやさしいものではない」と報じた。

 日本協会は原委員長が釈明会見で帰国した24日以降、ザッケローニ氏、ペケルマン氏と交渉を並行して継続してきた。ペケルマン氏も日本代表監督就任に前向きな姿勢を示していたが、8月いっぱいまで最終回答を保留した。一方、先週末までに契約へ大きく前進する返答をし、29日に来日したザッケローニ氏と、一気に契約への機運となった。

 9月の親善試合2試合は、就労ビザが間に合わずスタンド観戦する。ただ、同2日のキャンプを視察し、代表メンバーと初対面する。初采配は10月8日のアルゼンチン戦。来年1月にカタールで開催されるアジア杯が初の公式大会になる。

 ザッケローニ氏は五輪代表(監督は関塚氏が内定)を統括する立場も兼務する。日本サッカーはA代表、五輪代表ともにザッケローニ体制のもと、12年ロンドン五輪、14年W杯ブラジル大会の出場を目指す。