U-22(22歳以下)日本代表が「飛車角抜き」で、予選前最後の公式戦に挑むことになった。27日、同オーストラリア代表との国際親善試合(6月1日、東北電ス)へ向けた23人のメンバーを発表。同世代でも際立つタレントをみせるG大阪FW宇佐美貴史、フェイエノールトFW宮市亮が招集されなかった。クウェート代表との12年ロンドン五輪アジア2次予選前の貴重なホームでの実戦機会。2人がいないことで、予選本番にも影響が及びそうだ。

 壇上の関塚監督に、発表された代表メンバーにいない2人への質問が飛び交った。10代ながら、ともに五輪世代では傑出した才能をみせる宮市と宇佐美。6月19日に迫るクウェート代表との五輪予選のホーム試合に向け、招集の目玉と考えられていた両雄がそろっていない。口を一文字に結んだ同監督も、質問を覚悟していたように前だけを見つめて答えた。

 「宮市は手元に置くタイミングを、ほかのプレーヤーとのタイミングもみながら考えたい。これからもそこのチャンスは見ていきたい」。そう説明した。保有権を持つのはアーセナルだが、五輪代表には招集の拘束力はない。日本協会の原技術委員長は「韓国も大変みたいだから」と隣国の例を出した。同国も欧州組の五輪代表への招集をクラブに断られている。宮市も、このまま予選に呼べない可能性が極めて高い。

 「宇佐美はザックとも話しながら、今回はA代表という話になりました」。もう1人のタレントも、16~18日の豊田市合宿に続くメンバー外。昨年のJリーグ新人王もA代表に譲る形になった。

 オーストラリア戦は、昨年10月に発足した同代表にとって、初めての国内での公式戦になる。A代表とのダブルヘッダーのため、多くの観衆も期待できる。同監督も「サポーターが入ったなかで初めてできる。強豪との戦いで、立ち位置も測れる。最高の場」と期待する。最初で最後の予行演習。それだけに欠けたピースの影響が懸念される。【阿部健吾】