日本代表アルベルト・ザッケローニ監督(58)が、代表選手のオール欧州組化を計画していることが8日、分かった。14年W杯ブラジル大会までの長期計画で、最終的に代表全選手を欧州組で固めたい方針。ザック計画が実現すれば、代表チームは世界基準のカレンダーの中で、本場欧州をメーンに素早く招集し、活動、強化ができる。それは長い目でみれば日本サッカーの発展に大きく貢献することにつながる。オール欧州組構想は、日本サッカー界にとって大きな転機に成りうる壮大なプロジェクトだ。

 ザッケローニ監督が国内組のほとんどの選手に、欧州リーグでの成長を推奨していることが分かった。優勝した今年1月のアジア杯の合宿では、セリエAの具体的なクラブ名を出してその魅力を語り、海外チャレンジへの不安を薄め、前向きになるよう後押しを続けてきた。

 日本協会はこれまで、歴代会長が日本サッカーの強化の原則として、Jリーガーの海外挑戦を強く推奨してきた。今回、ザッケローニ監督が海外チャレンジの勧めを説くのも、そうした協会の理念に合致している。岡田前監督は選手の移籍に常に中立を貫いてきたが、セリエAで実績を残したザッケローニ監督は、海外挑戦の重要性を早い段階から認めてきた。

 MF遠藤保仁が言う。「イタリアの話は聞いているけど、オレはすべて代理人に任せているから。でも監督からそういう話を聞いているのは、オレだけじゃないよ。レベルの高いクラブで成長してほしいと願ってるからでしょう」。

 同監督は3月11日の大震災翌日、余震と福島第1原発の混乱の中、家族の強い要請を受け入れ、急いでイタリアに帰国。実はその直後、近しいセリエAクラブ関係者と会って、求められれば日本代表メンバー国内組の実力などを伝えていた。クラブには貴重な情報になっている。DF長友がインテルミラノに電撃移籍できた背景には、ザッケローニ監督がレオナルド監督に直接電話連絡し、推薦していた後日談は有名だ。

 オール欧州組化は代表強化の近道でもある。アジア杯前、キリン杯前にも同監督は「準備期間が短い中で欧州組と国内組のリーグ日程上、選手のコンディションもバラバラ」と、日本代表の特殊性を強調していた。国内組と欧州組のコンディションのバラツキは大きな悩みになっていた。

 司令官は「代表はクラブと違って強化する時間が限られる。所属クラブでそれぞれ強化してまた集まろう」と解散時、選手に指示を与えている。個のレベルアップのためには、常日ごろ高いレベルで戦うことが必要だ。

 ブラジル、アルゼンチンの南米の強国は欧州組が大半を占める。招集しやすく、強化試合も欧州で行うことが多い。ザック構想のメリットは計り知れない。