<U-17W杯:日本3-1アルゼンチン>◇1次リーグB組◇24日(日本時間25日)◇メキシコ・モレリア

 日本は1次リーグ最終戦でアルゼンチンを破り、通算2勝1分けの勝ち点7でB組1位での決勝トーナメント(T)進出を決めた。日本は93年の自国開催以来9大会ぶり2度目、海外開催では初の決勝T進出となる。前半4分にFW高木大輔(15=東京Vユース)のゴールで先制。同20分にDF植田直通(大津高)、後半29分にはMF秋野央樹(柏U-18)が加点し、相手の反撃を1点に抑えた。決勝トーナメント1回戦では29日午後6時(同30日午前8時)から各組3位の成績上位4チームのうちの1つと対戦する。

 高木は右サイドを突破し、ゴールを目指すDF川口を冷静に見ていた。ファーサイドでオフサイドに気をつけながらゴール前に進入すると、GKがシュートをはじくミスに鋭く反応。左足で押し込むと、右手を誇らしげに上げ、雄たけびを上げながらベンチに向けて突っ走った。「やってやろうと、最初から決めていた」と、3戦目の今大会初出場で結果を出した。

 父は元プロ野球選手で解説者の高木豊氏で、長兄はJ1清水の俊幸、次兄はJ2東京Vからオランダ1部ユトレヒトへ移籍する善朗という“高木3兄弟”の末弟。善朗も「兄弟で一番センスがある。これから一番頑張ってほしい存在」という能力の高さを認められ、今回の代表ではU-15から唯一の飛び級でメンバー入りしている。

 中2だった昨年3月にはフランスの名門パリ・サンジェルマンに短期留学するほど度胸も据わっている。東京Vの都並敏史育成アドバイザーも「代表スタッフからも人間性を絶賛されている。技術は成長段階だけど、兄弟で気持ちは最も強い」と期待を寄せる。

 3兄弟全員が東京Vの下部組織で育ち、昨年9月の天皇杯2回戦の町田(JFL)戦(0-1で敗退)では史上初の兄弟そろってのベンチ入りを果たした。長兄はJ1を新たな戦場に選び、次兄は欧州へ旅立つ。兄たちの新たな挑戦に刺激され、高木も世界の舞台で大きな経験を積んでいる。

 93年日本大会以来の1次リーグ突破。海外での大会でフランス、アルゼンチンといった強豪から勝ち点を奪っての快進撃でチームも大きな経験を積んでいる。吉武監督は「選手には1試合でも多く試合をさせて経験値を上げられたらいい」と話す。毎試合選手を入れ替えることで競争も激化。U-17でも“末弟”の高木には、次の出場をアピールする大きなゴールとなった。