【フランクフルト(ドイツ)16日=中野吉之伴通信員】なでしこジャパンMF宮間あや(26)が、17日の女子W杯ドイツ大会決勝戦のキーマンに指名された。ドイツ紙ビルトが「米国中が日本の魔法の足を恐れている」との見出しで、1ゴール3アシストと両足で決定的なパス、シュートを打てる宮間を紹介した。チームでも小柄な身長157センチの体に大きな期待を背負い、FIFAランク1位の米国から初白星を挙げての優勝へ突破口を開く。

 小さな足が大きな仕事を成し遂げる。ドイツ紙ビルトは、決定的場面を生み出す宮間を「日本の大きな期待を担うのは、一番小さな足を持つ女性選手。宮間あやの靴のサイズは22センチ。だが、日本の決勝進出に大きく貢献している」と、宮間が試合を決定づける仕事を続けていることを、驚きとともに報じた。

 身長157センチはMF大野の154センチ、FW岩渕の155センチに次ぐ小柄だ。足のサイズも主将のMF沢の26センチより4センチも小さく、日本人女性でも小さい方。だが、利き足は両方。22+22で44センチ分の活躍を見せる。宮間も「おそらく自分の小さな足がシュート技術を助けてくれている。いつでもしっかりとボールをとらえることができる」と話した。

 体の大きな米国相手でも自信がある。準々決勝ドイツ戦、準決勝スウェーデン戦でも自分のプレーを出した。高校2年まで自宅のある千葉・大網白里町から東京の読売ベレーザ(当時)の練習場まで通ったが、片道3時間半の移動時間が惜しく、地元高校で男子生徒に交じってプレーすることを決断。公式戦には出場できなかったが、男子とのプレーで大きな相手をかいくぐってパスやドリブルを駆使する経験を積んだ。

 1ゴール3アシストの活躍で、日本からは沢、大野とともにゴールデンボール(大会MVP)候補にノミネートされている。ドイツ紙ルールナッハリヒテンも「サイドでハイスピードで動きながら、魔法のようなプレーでボールを配給する。キャプテンの沢とともに相手DFの背後を攻略していく」と高く評価。宮間と対面する米国の右サイドバックのクリーガーも「彼女のことは警告されている」と警戒心をあらわにする。

 司令塔の沢とともに相手のマークが厳しくなることは必至だ。それでも宮間は「私たちが落ち着きを失わないで自分たちにできるプレーが出せれば(優勝の)可能性はある」とコメント。22センチの小さな足が、全米を震え上がらせる。