女子W杯ドイツ大会決勝で、なでしこジャパンはFIFA(国際サッカー連盟)ランク1位の米国をPK戦の末破り、FIFA主催大会で男女を通じ史上初の優勝という快挙を達成した。

 菅直人首相は18日、なでしこジャパンのW杯優勝を受けて「すべての日本国民に、中でも被災地の方々に、最高の贈り物をありがとう」とのコメントを発表した。「劣勢になっても最後まであきらめないで頑張り抜く闘いは、皆に勇気を与えてくれた」とも記し、なでしこの粘り強さを、退陣要求に応じない自身に重ねるような記述もあった。

 政府関係者の間では、日本サッカー界史上初の快挙を受け、菅首相がなでしこへの国民栄誉賞授与に動くのではないか、との見方がある。退陣をめぐる迷走で内閣支持率が1割台に急落した首相が、なでしこにあやかり、政権浮揚を目指す可能性は十分ある。00年、同じく低支持率だった森喜朗元首相が、シドニー五輪女子マラソンで優勝し、日本女子陸上初の金メダルを獲得した高橋尚子に国民栄誉賞を授与した例もある。

 ただ、菅首相は、これまでなでしこに関心を示してきたわけでもなく、14日に初めて「ぜひ優勝してほしい」と発言した程度。一部では、税金が投入される政府専用機を使った決勝観戦ツアーを計画し、周囲に止められたとも報じられた。その状況から、国民栄誉賞が「単なる人気取り」(関係者)と批判されるのは必至で、「新しい首相が授与すればいい」との声が出る可能性もあり、難しい対応を迫られそうだ。

 なお、なでしこジャパンは今日19日に帰国後、菅首相を表敬訪問する予定だ。