なでしこジャパンの不動の左サイドバック、DF鮫島彩(24=ボストン・ブレーカーズ)が、9月にフランスリーグのモンペリエに移籍することが8日、分かった。6月に東京電力から米女子リーグのボストンに移籍したが、W杯ドイツ大会の活躍で欧州の強豪クラブが獲得に手を挙げた。

 なでしこジャパンの美人左サイドバックが、W杯初優勝後の欧州リーグ移籍第1号になった。ボストンとの契約がシーズン終了の8月末で切れることから、日本国内や欧米各国クラブが水面下で交渉を続けてきた。W杯後に「9月以降のことも一番良いと思う選択を早めにしたい」と話していた鮫島は、モンペリエ移籍の意思を固めた。

 フランスは近年、欧州の中で最もレベルアップしている欧州屈指の強豪リーグといわれている。昨季リーグ王者リヨンは今季、2季連続で女子欧州チャンピオンズリーグ決勝に進出し、FW永里が所属するドイツのポツダムを破って優勝。代表もW杯ドイツ大会で準決勝に進出した。レベルの高い米リーグを経験し、さらに自分を高めるため新たな段階に踏み出した。

 W杯では不動の左サイドバックとして全6試合に先発出場して初優勝に貢献した。愛らしい容姿からは想像できないスピードで攻撃参加を繰り返し、守備面でも1対1の強さを発揮してサイド攻撃を封じていた。モンペリエには昨年8月からなでしこジャパンのMF宇津木が所属している。モンペリエ関係者は「宇津木に続いて2人目の日本人が獲得できた」と喜んだ。

 なでしこリーグの東京電力が福島第1原発事故の影響での無期限休部を決めたことに伴い、米ボストン移籍。そこから一気に欧州強豪クラブへと駆け上がった。世界トップクラスが集うリーグで試合に出場し続けることは、来年のロンドン五輪での悲願の金メダル獲得へ大きな力になる。

 ボストンで7月27日に本拠地で行われたフィラデルフィア戦に左MFでフル出場した鮫島は「日本代表の長友さんのように運動量とスピードで勝負したい」と話していた。世界一のサイドバックを目指す「女長友」が欧州で羽ばたく。