日本代表FW清武弘嗣(21=C大阪)のA代表デビュー戦に、欧州スカウトが集結することが9日、分かった。今日10日の韓国戦(札幌ド)にフランス1部のリールとマルセイユ、オランダ1部のフェイエノールトの強化担当者が視察に訪れることが決まった。移籍期限締め切りとなる今月31日までの獲得が前提で、韓国戦直後に正式オファーが届く可能性もある。韓国戦は途中出場が濃厚。五輪代表と掛け持ちの次世代のエースが、短い時間で夢の欧州移籍をつかむ。

 日本代表に初招集された新星が、欧州に電撃移籍する可能性が出てきた。韓国戦が開催される札幌ドームに欧州スカウト陣が集結する。関係者は「3~4クラブが見に来ると聞いている。(欧州移籍市場の)駆け込みの視察になるだろう」と明言。昨季のフランスリーグ王者のリールと同2位のマルセイユ、さらに昨季、宮市が所属したオランダ1部のフェイエノールトが視察に訪れることが判明した。今夏の獲得を前提にしており、韓国戦直後に本格交渉に入る可能性がある。

 特に57季ぶりにリーグ戦を制し、今季の欧州チャンピオンズリーグに出場するリールは本気だ。当初は韓国代表のエースFW朴主永(26=モナコ)の獲得を目指していたが、移籍金の関係で破談になると、清武に一本化。最近の複数の試合の映像をチェックした上で、クラブ幹部の指示でフランスからスカウト担当が清武の視察だけを目的に来日した。同じく欧州CLに出場するマルセイユはアジア担当スカウトが視察予定。昨季、宮市の活躍で日本人選手獲得に熱心なフェイエノールトも獲得リストの最上位に挙げ、担当者を派遣するという。

 五輪代表の主軸だった男が、9月から始まるW杯アジア予選目前にA代表に抜てきされ、さらには欧州移籍までつかもうとしている。2列目の右サイドが定位置で、突破力とボールを持った瞬間に前を向く攻撃力が持ち味。左サイドの香川と似たタイプで、普段から仲が良く、弟分的な存在でもある。C大阪で同僚だった香川、家長、乾らが続々と欧州へ渡っていくのを見て強烈な刺激を受けた。

 韓国戦は途中出場での代表デビューが濃厚だ。この日の公式練習後には「いい準備ができた。欧州組はみんなうまい。状況判断やプレーの質、体の強さ。一緒にやって、初めて分かったものが多い」と淡々と話した。これまでも欧州挑戦については、並々ならぬ欲求を語っている。

 「欧州にはすぐにでも行きたい。近い将来というより近々、行きたいです。早く向こうに行って、刺激を受けた方が、成長すると思っているんでね」

 欧州スカウトが集う韓国戦で強烈な印象を残すことができれば、一気に正式オファーが届く可能性が高い。C大阪との契約は13年1月まで残すが、比較的、割安で移籍できるため、交渉はスムーズに進むことも考えられる。清武が欧州移籍から、ロンドン五輪を経て、14年W杯ブラジル大会を目指す。