関塚ジャパンの隠し玉がベールを脱ぐ。U-22(22歳以下)日本代表は今日10日、同エジプト代表との親善試合(札幌ド)に臨む。9日に札幌市内で公式練習を実施。初招集されたFW杉本健勇(18=C大阪)が1トップでの途中出場が濃厚となった。身長187センチの高さが武器の「イケメンハイタワー」。関塚隆監督(50)秘蔵のポスト役の新戦力が、9月から始まるロンドン五輪アジア最終予選へ飛躍する。

 約1時間の練習を終えたFW杉本が、関塚監督に呼び止められた。「シュートの打ち方とかですね」。身ぶり手ぶりを交えて、得点の心得を伝授された。前日のミニゲームでも強烈なヘディングを見せたチーム最年少の18歳FW。指揮官の期待の高さをうかがわせた。

 魅力は何より高さだ。小6で170センチあった身長は、現在187センチ。「いつもゴールキックのターゲットだったんで、ロングボールの競り合いは勝てる自信があります」。生粋のポスト役だ。2日間練習をともにしたエースFW永井も「ボールが収まる」と評する。

 その才能に、約1年前から目を付けていたのが関塚監督。昨年9月、わざわざC大阪の控え組中心の練習試合を視察。今年5月にも同様の訪問をした。どちらも杉本が出場していた。

 50メートル5秒8の永井に代表される「スピード」が同代表の武器。プラスアルファで求められていたのが「高さ」だった。2月の中東遠征では194センチのFW指宿(セビリア・アトレティコ)を招集したが、五輪世代への拘束力がない海外組のため、今後のメンバー入りは不透明。代わりにまだJリーグでは2試合しか出場していない秘蔵っ子に白羽の矢がたった。

 杉本の発奮材料は同じ関西出身で中1から親友のBミュンヘンFW宇佐美の存在。頻繁に連絡を取り合い、食事もするライバルに「負けられない。追いつきたい。ここでチャンスをつかめば、将来が変わってくる」と燃える。端正な顔立ちでも人気が出そうな新戦力。「気持ち入れて、期待に応えたい」。ロンドンへの道は、誰にも負けない高さで切り開く。【阿部健吾】

 ◆杉本健勇(すぎもと・けんゆう)1992年(平4)11月18日、大阪府生まれ。FCルイラモス・ヴェジットから、C大阪U-15、同U-18を経て、昨年7月にトップ昇格。世代別代表の常連で、09年U-17W杯日本代表。7月23日のリーグ清水戦でJリーグ初出場を果たした。名前の由来は「健やかで勇ましく」。187センチ、76キロ。