日本代表のMF香川真司(22=ドルトムント)が、弟分に欧州移籍を勧めた。3-0の歴史的大勝を飾った韓国戦から一夜明けた11日、成田空港発の航空機でドイツへ戻った。A代表デビュー戦で2アシストを記録し、欧州スカウトの注目を集めるC大阪時代の後輩・MF清武弘嗣(21)へ「1日も早く欧州の厳しい環境でやった方がいい」とアドバイス。14年W杯ブラジル大会へ、自らの体験を基にさらなる飛躍を求めた。

 搭乗口へと続く歩道をゆっくり、ゆっくりと歩いた。韓国から2得点を挙げ、歴史的大勝を飾った前夜は興奮から眠れなかった。香川は大勢のファンに囲まれると1人1人と握手を交わした。そして前日の韓国戦で衝撃のA代表デビューを飾った弟分へ、さらに成長するためのアドバイスを送った。

 「正直、ビックリした。あんなにA代表でやれるとは思わなかった。オレが初めて代表で試合に出た時は、もっと緊張してたよ。全然A代表でもやれる。もっとスゴくなれるし、1日も早く欧州に行った方がいい。厳しい環境に身を置いたら、すぐに伸びるから」。

 自らの経験を基にした言葉だった。代表でも定位置をつかめず、ドルトムントへ渡ったのが1年前。数カ月で急激に成長し、劇的に環境も変わった。10年W杯南アフリカ大会には同行しただけでベンチに入れなかった香川が、今は日本の背番号「10」を背負う。

 C大阪で後輩だった清武とは普段から仲が良く、いつも相談を受けている。韓国戦には、清武の獲得を狙う昨季のフランス王者で欧州チャンピオンズリーグにも出場するリールとマルセイユ、オランダ1部フェイエノールトの強化担当者が視察。正式オファーが届く可能性は十分ある。現状もふまえた上で、香川は後輩の背中を押した。

 「チャンスがあるなら、すぐにつかんだ方がいいよ。アイツならやれるでしょ」。9月2日にはW杯アジア3次予選・北朝鮮戦を控える。「W杯予選はこんなもんじゃない。韓国に勝ったことで満足していては予選で足をすくわれるし、個人的にも進歩しない。もっと層を厚くして、連係も深めたい」。攻撃陣に「清武」のピースが加われば、日本はもっと強くなると信じている。【益子浩一】