日本代表のFW清武弘嗣(21=C大阪)が、W杯ブラジル大会アジア3次予選・北朝鮮戦(9月2日、埼玉)でA代表初先発する可能性が出てきた。30日は埼玉県内で非公開調整。10日の親善試合・韓国戦で代表デビューしたばかりの日本の新星に、W杯予選の初戦でビッグチャンスが巡ってきた。言葉数が少なく「男は黙って仕事をする」タイプの清武は、大舞台での先発の可能性についても淡々と語った。

 「もしそうなっても、いつも通りやるだけだと思います。誰が入っても大丈夫なように。W杯予選はチーム全体で戦わないといけないですから」

 運も実力のうちだ。大抜てきされ、途中出場した韓国戦でいきなり2アシスト。12年ロンドン五輪を狙うU-22(22歳以下)代表で、まだ無名だった男が一気に全国区になった。今合宿では本田が右膝負傷で北朝鮮戦出場が絶望的になったことで、香川がトップ下、清武が左サイドで先発する可能性が浮上。とんとん拍子にA代表の主力への階段をのぼりはじめた。

 「これまでより一層、責任感がありますし、結果を出さないといけない。今はリラックスしていますけど、試合が近づくにつれ、集中力も増してきた」

 この1カ月で環境は激変した。アルベルト・ザッケローニ監督(58)からの信頼、そして欧州クラブからも注目を集めるようになり、この日の練習後にも「キヨタケ~」と黄色い声援が飛んだほど。自ら「香川真司クンと同じタイプ」と言うように、2列目からの動きだしの速さと、ドリブルが持ち味。突如現れた「香川2世」が、W杯への扉を開く。【益子浩一】