【アンマン(ヨルダン)3日=福岡吉央】敵はデコボコピッチだ!

 5日にロンドン五輪アジア最終予選シリア戦を控えるU-23(23歳以下)日本代表に、新たな“難敵”が浮上した。代表はアンマン入りしたが、試合会場となるキング・アブドラ国際スタジアムのピッチ状態が悪く、芝の長さも均等ではないことが判明。特にゴール前は、降雪の影響で田んぼのようなぬかるんだ状態で、細かくパスをつなぐことも困難。試合当日はピッチ状態に合わせたサッカーを強いられる可能性も出てきた。

 決戦の会場を視察に訪れた小倉コーチがピッチを見て思わず嘆いた。「こりゃ、焼け石に水だな。見ての通り。あとは雨が降らないことを祈るだけだよ…」。

 遠景こそ奇麗な緑の芝が広がっているが、ピッチに立つと、不均等でデコボコなピッチであることは一目瞭然だった。芝の長さは40ミリ以上の場所もあれば10ミリ以下の場所もちらほら。さらに先週降った雪の影響で、芝の下はぬかるんだ泥のような状態。特にペナルティーエリア内は両サイドとも芝がはげ、田んぼのような滑りやすい軟らかさで、残り2日間でグラウンドの湿気が抜けない場合、選手たちは足元が不安定な状態でのプレーを強いられることになりそうだ。

 ピッチの写真を見たFW山崎亮平(22=磐田)は「ゴール前につめていれば何が起こるか分からない。こぼれ球やイレギュラーを逃さないようにしたい」。GK権田修一(22=東京)は「こっちのグラウンドは粘土質で少し(硬さが)緩い。つかむ、はじくの判断をしっかりしたい」と話した。

 同スタジアムでは2日、3日と国内リーグ戦が開催され、芝の薄い部分は選手のスパイクの跡が土の上に残っている箇所も無数にある。スタジアム関係者によると、明日4日にシリアの要望を聞いて芝を刈るといい、リクエストがない場合は5ミリになる予定。だが、シリアは昨年9月にもバーレーン戦を同スタジアムで戦い、環境を十分把握しているだけに、自分たちに有利な条件で芝のリクエストを出す可能性が高そうだ。

 一方、日本協会もスタジアムを視察に訪れた際、試合当日の開始数時間前にグラウンド全面に水をまくようスタジアムスタッフに依頼した。開催は中立地ながら、あくまでシリアがホーム扱いとなるため、どこまで日本の要求が通るかは不透明。スタジアムの芝管理担当者も「この国では普通は水はまかない」と話しているが、日本もできる限りの策を尽くし、ピッチ環境の整備にも全力を注ぐ。