ザックジャパンが異例の欧州組中心の緊急国際Aマッチを5月23日に計画していることが19日、分かった。アルベルト・ザッケローニ監督(58)から同21~23日の国内合宿中の試合開催を要請された日本サッカー協会が対戦国選定作業に入った。2日後の25日にはJリーグ開催予定だが、6月3日のオマーン戦(埼玉)から始まる14年W杯ブラジル大会アジア最終予選へ向け、リーグ戦終了から期間があく欧州組の試合勘維持や連係確認などを最優先する。右ひざの負傷などで昨年8月10日の韓国戦以来、代表から離れているMF本田圭佑(25=CSKAモスクワ)らを実戦チェックする。

 ザッケローニ監督が、欧州組のための緊急Aマッチを計画した。W杯最終予選の初戦のオマーン戦に向け、当初日本代表は5月21日から3日間、国内組と欧州組の融合合宿を行い、合宿最終日に大学生との練習マッチを通して国内組の選別作業をする予定だった。しかし最終予選の組み合わせが決まり、指揮官の方針が急変した。

 日本協会幹部は「海外組はリーグ戦が(最終予選の)1カ月前に終了するし、長期休暇に入る。すぐ予選の本番が始まるので、国内組と欧州組の融合より、欧州組の試合勘、コンディション確認をした方が、ザッケローニ監督は最も賢明な選択だと判断したようだ」と明かした。

 特に指揮官が気にするのが、大黒柱・本田の調子だという。本田は右ひざ半月板損傷などで、昨年8月10日の韓国戦(3-0)以来、代表から遠ざかっている。その間、日本は北朝鮮(同11月15日)とウズベキスタン(2月29日)に負けるなど、苦戦を強いられた。現在本田は所属チームで戦列復帰しているものの、代表戦でいきなり予選を戦うより、親善試合でワンクッション入れ、戦術や他の欧州組との連係を確認した方が得策と判断したようだ。

 さらに日本協会幹部は「本田の次に監督が気にするのが、欧州組の半分以上を占めるブンデスリーガのコンディション」と明かす。MF香川(ドルトムント)らが所属するドイツ・ブンデスリーガは5月5日に全日程を終了するため、最終予選までは約1カ月、間が空く。実戦から1カ月離れたタイミングでいきなり本番を迎えるより、1試合Aマッチを戦うことで、コンディション調整もしやすくなる。

 日本代表が欧州組の体調管理などのためにAマッチを組むのは、初めての試みだ。近年、欧州組が増える一方で、主力のほとんどが欧州リーグに所属している現状だけに、今後、同様のAマッチは増える可能性は十分ある。今月中には指揮官自ら欧州行脚し、その趣旨を直接伝える予定。代表の底上げのためには、国内組からの新戦力発掘も大事だが、予選が目前に迫っただけに、より現実策を取ったと言える。

 5月21日からの国内合宿は、国内組と欧州組を合わせたチームで練習する。国内組は、直後(同25、26日)にリーグ戦が組まれており、シーズン最中のため、実戦感覚や体調確認を必要としないため、あくまでも23日のAマッチは欧州組主体の実戦となる。日本協会幹部は「今後、J各クラブとも相談していい形を模索したい」。

 対戦国は未定だが、現在は中国や東南アジア諸国、さらにFIFAランク下位国など、欧州組の負担にならない国を中心に交渉を進めている。5月23日の国際Aマッチでスパーリングを終え、最高コンディションの最強メンバーで5大会連続のW杯切符をつかみにいく。