なでしこジャパンの五輪前最後の国内合宿が、千葉県内で行われることが7日、分かった。7月11日のキリンチャレンジ杯(国立)に備え、同月9日から開始。今年は2月に和歌山合宿(昨年の台風12号)、3月に宮城合宿(東日本大震災)と佐々木則夫監督(53)は“復興”をテーマにしてきた。東日本大震災で液状化現象などの被害を受けた千葉県で使命を果たし、欧州での最終調整に旅立つ。

 昨夏の女子W杯初優勝以降、日本に勇気や元気を与え続けてきたなでしこジャパンが、再び被災地にパワーを送る。日本協会関係者は「これまでも被災地で合宿をしてきた活動は継続したい。関東でも被害の大きかったところもある」と千葉県内が第1候補である意向を明かした。ロンドン五輪直前の国内最終合宿の被災地開催は、佐々木監督の希望でもある。

 7月上旬にはロンドン五輪に臨む18人と予備登録4人が発表される。FW永里、DF熊谷ら海外組は6月のスウェーデン遠征(12~22日)以降は所属クラブがオフ期間のため、日本で各自が調整。MF宮間、沢ら国内組は、7月8日になでしこリーグ杯を戦う。合宿は翌9日から開始される。中2日で試合を迎える過密日程。選手個々の状態を見ながら、疲労回復などコンディション調整を優先させる予定だ。2月の和歌山、3月の宮城合宿と同様に、地元小中学生との交流会も検討されている。

 千葉県内は東日本大震災の影響により、東京湾岸の浦安市や、利根川沿いの我孫子市などで大規模な液状化現象が起きた。宮間の実家がある大網白里町など、利根川河口付近から九十九里平野沿岸部にかけては津波の被害も大きかった。

 キリンチャレンジ杯後も数日間は同地で、地元男子高校生との合同練習を行い、女子同士では培えないフィジカル強化を行う計画もある。その後、フランスへ渡り、7月19日に予定されているフランス戦(パリ)で最終テストマッチ。翌20日に1次リーグ初戦カナダ戦(同25日)の地・英国コベントリー入りが、佐々木監督の理想でもある。

 監督、選手たちは「皆さんに勇気をもらっていますと声をかけてもらいますが、逆に私たちがパワーをもらえます」と口をそろえる。なでしこジャパンは、逆境に立ち向かう被災地のパワーも得て、金メダル獲得に挑む。<なでしこ国内合宿>

 ◆愛媛合宿

 W杯ドイツ大会前の11年6月14~20日まで、新居浜市、松山市で開催。W杯初優勝につなげた。

 ◆岡山合宿

 ロンドン五輪アジア最終予選(中国)前の11年8月22~27日まで美作市で開催。W杯優勝以降のなでしこブームの中、延べ3万2900人の大観衆が詰め掛けた。岡山県は10億円を超える経済効果を発表した。

 ◆和歌山合宿

 アルガルベ杯(ポルトガル)へ向け、12年2月9~13日まで上富田町で開催。なでしこジャパン、なでしこチャレンジ、U-20(20歳以下)、U-17女子日本代表が集結し、100人規模合宿となった。地元中学生などとサッカーで交流も図った。

 ◆宮城合宿

 キリンチャレンジ杯(仙台、神戸)へ向け、3月26~31日まで松島町、利府町で開催。初日には地元小学生を集め、ミニゲームを行うなど楽しんだ。W杯優勝トロフィーなども披露した。