横浜FCのFWカズ(三浦知良=45)が、W杯で日の丸を背負う!

 フットサルW杯タイ大会(11月2日開幕)予選を兼ねたアジア選手権がUAE・ドバイで行われ、日本は29日の準々決勝でキルギスに1-0で勝ち、3大会連続4度目のW杯出場を決めた。日本サッカー協会は、カズにW杯出場を要請することを決めており、近日中に正式オファーを出す。横浜FCも前向きに検討しており、98年W杯フランス大会直前に代表メンバーから落選した日本の偉大なエースが、15年越しに新たな舞台でW杯出場の夢を実現させる。

 夢がかなう。カズが、W杯舞台に立つ。サッカーではなくフットサル、芝生のピッチではなく板張りのアリーナだが、12年ぶりに代表の青いユニホームに袖を通すことになる。

 日本はキルギスに勝ち、3大会連続4度目のW杯出場を決めた。日本サッカー協会副会長でフットサル連盟の会長でもある大仁邦弥氏(67)は大会前に「協会内では、日本がW杯に出場を決めた場合、もう1度カズの力を借りようということで結論を出している。大会後にもう1度協議することになるけれど、正式要請するのは間違いない」と話していた。

 カズは1月に、Fリーグ(日本フットサルリーグ)のエスポラーダ北海道の一員としてリーグ戦に参戦し、フットサルの認知度向上に貢献した。その功績は日本協会も高く評価しており、フットサル代表のミゲル・ロドリゴ監督(41)の意見を聞いた上で、同種目普及のために、今度はW杯メンバー入りへ、現場と幹部の見解が一致した。

 W杯は11月2~18日にタイで開催される。ロドリゴ監督は「カズをW杯に呼びたい。そのカリスマ性と豊富な経験は大きな力になる」と話している。ただ、精神的支柱としての招集だけではない。実力を認めた上での判断だ。同監督は「カズは、まだフットサルに慣れていない部分がある。戦力として考えているので、大会本番だけの参加では困る。事前合宿から参加するのが条件です」と続けた。

 当然、日本協会も「客寄せパンダ」として招集するつもりはなく、水面下で横浜FCと1月から4カ月にわたって長期的かつ丁寧に交渉を続けてきた。日本協会幹部は「クラブとはある程度、話はついている。フットサル代表として招集する10~11月に横浜FCが、降格圏内の危ない状況か、昇格がほぼ決まる状況でない限り、カズを送り出すことで話を進めている。カズも『W杯に出たい』と思ってくれているようで、支障はほとんどないでしょう」と話した。

 カズもFリーグ参戦後「条件が整ったら代表という気持ちはある」と話している。さらにカズと何度か接触しているロドリゴ監督は「オレの気持ちは伝えているし、カズも『やりたい』と言ってくれた。彼の気持ちは代表に向いていると確信している」と話した。

 カズは98年W杯フランス大会直前のスイス合宿で、W杯出場の夢が絶たれた。4年後の日韓大会前にはトルシエ監督から「選手ではなくコーチングスタッフとして」メンバー入りを打診されたが、断った。「外れるのはカズ、三浦カズ-」。サッカー界に残る岡田武史監督の歴史的セリフから14年。カズが、W杯の舞台に初めて足を踏み入れる。

 ◆カズとW杯

 94年米国大会アジア予選では、1次予選で9得点、最終予選でも4得点の活躍を見せた。イラクとの最終戦でも得点したが、終了間際に追い付かれてW杯出場を逃し、「ドーハの悲劇」となった。98年フランス大会アジア1次予選では、マカオ戦で6得点を挙げるなど、大活躍した。しかし、最終予選では初戦のウズベキスタン戦に4得点したものの、その後無得点。イランとの第3代表決定戦も得点できず、「ジョホールバルの歓喜」はベンチで迎えた。その後、大会直前のスイス合宿でMF北沢、DF市川とともにメンバーから外れた。

 ◆W杯タイ大会

 24チームが出場。アジア4、南米4、アフリカ3、オセアニア1、欧州7、北中米カリブ海4、主催国タイ。1組4チームの6組に分かれ1次リーグを行い、上位2チームと3位の成績上位4チームが決勝トーナメント進出。11月2日に開幕し、同18日決勝。

 ◆W杯までの道

 大会エントリーは14人で、試合に出場できるのは12人。各試合ごとに14人から選ばれた12人がベンチ入りする。その前に各出場国は20人の予備登録メンバーをFIFA(国際サッカー連盟)に提出(締め切り期間未定)する義務があり、その中からW杯メンバー14人を選出することになる。