【ドーハ(カタール)9日=栗田成芳】青きザックジャパンが、赤に取り囲まれる。日本代表は、W杯アジア最終予選オマーン戦(14日、マスカット)の直前合宿地ドーハに到着した。国内組10人だけでのスタートとなったが、オマーンは前日、メンバー24人をそろえて親善試合エストニア戦で調整するなど、万全の準備を着々と進める。さらにオマーン協会は日本戦で、チームカラーの赤シャツでの応援を特典付きで呼び掛けていることが判明。真っ赤なアウェーの大観衆から大きなプレッシャーをかけられる戦いとなる。

 中東での戦いは、やはり厳しくなりそうだ。日本代表がオマーン戦を行う敵地スルタン・カブース・スタジアムの収容人数は3万9000人。そのスタンドが、赤一色になる可能性が高まった。最終予選初戦となったホームでのオマーン戦(6月3日)では、6万人を超える大観衆の声援を受け3-0の完勝を収めたが、今回は真逆の状況。合宿地であるドーハに降り立った代表関係者は「かなり客が集まるようです」と神妙に話した。

 オマーン協会を中心に、国を挙げての客の呼び込みに必死だ。赤いシャツを着ることが、オマーンチームに勝利を呼び込むと訴えた上で、日本戦のチケットを10枚買えば特典としてユニホームを進呈する。さらにチケットに宝くじを付けるなどの大盤振る舞い。なりふり構わず日本戦で勝ちに行くつもりだ。

 日本がオマーンで一番最近戦った10年W杯予選(08年6月7日、1△1)では、観客数わずか1万人だった。スタンドには空席が目立ち、応援が熱狂的とは言い難かった。しかし近年の力の入れ具合には目を見張る。実際に、オマーンは8日のエストニア戦に負けるまでホーム14戦連続不敗。約2年間も黒星がなく、ホームで力を発揮している。

 5日のメンバー発表会見では、アルベルト・ザッケローニ監督(59)も「チケットがたくさん売れているという情報も入っている。試合時間も自分たちが決められる午後一番に設定してきた」と警戒を強めていた。日本は現在首位を独走しているとはいえ、まだ最終予選は半分。この一戦を乗り越えられなければ、W杯への道は遠のく。