【ドーハ(カタール)11日=栗田成芳】日本代表MF遠藤保仁(32=G大阪)が、FWカズの「日の丸魂」を背負い、5大会連続W杯出場切符に王手をかける。W杯アジア最終予選オマーン戦(14日、マスカット)で、歴代最多となる国際Aマッチ出場数(123試合)の更新は確実。日本サッカー史上もっとも代表ユニホームを着ている男は、現メンバーで唯一カズと代表でプレーしたことがある。今もなおフットサル日本代表として日の丸を背負う姿勢に刺激を受けている。

 カズの奮闘は、遠く離れたドーハまで届いていた。遠藤は痛々しい傷に沿って9針も縫われた顎を、気にするそぶりもなくピッチを駆け抜けた。中東の気候に慣らすように、生ぬるい空気を感じ調整を続けた。大事を取って欠場する選択肢なんかない。「カズさんがフットサルの選手として頑張っているので、そういう姿勢を見習わないといけない」。最多記録を更新する通算124試合目に強い意欲を見せた。

 代表でカズの背中を見た。ともに京都に所属した12年前の00年12月1日、代表候補合宿に最年少選手として初招集。28人のメンバーの中には、クラブから「ゼロ円提示」を受けたばかりのカズの名前もあった。直後の韓国戦はともに出場することはなかった。それでも合宿を機に遠藤は代表定着に向けてのスタートを切り、カズはその後、代表から遠のいた。大記録の第1歩は「最後のカズ」とともにあった。

 現在の代表メンバーで唯一、カズと代表でプレーしている。入れ替わりになってしまったとはいえ、日の丸にこだわる姿勢を目の当たりにしただけに「カズさんは日の丸を背負って戦うことを一番理解している人」と言う。そのカズが国を背負って戦う姿に、刺激を受けないわけはなかった。

 ザックジャパンでは最年長選手にして不動のボランチ。出場した数だけ引き出しもある。08年6月の南アフリカW杯予選のアウェー戦では、1点先制を許しながらも自身のPKで同点に持ち込んだ。「あの試合がアウェーで一番苦しんだ。そういう状況にしないためにも、試合の入り方を間違えないようにしたい。先に1点取れば楽になる」。満員が予想されるアウェー戦。1歩も引き下がるつもりはない。