ザックジャパンが「1カ月強化」で大きな成長を遂げる。来年6月のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(同4日、ホーム)、イラク戦(同11日、アウェー)の前の5月29日に、国内で強化試合を行うことが17日、決定的になった。1次リーグでブラジル、イタリア、メキシコの強豪3カ国と対戦するコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯、6月15日開幕・ブラジル)も含め、約1カ月の長期合宿を実施することになり、実戦は最低6試合。来年6月がW杯本番に向けた「強化月間」になる。

 ザックジャパンが来年5月下旬から6月下旬にかけての約1カ月をW杯本大会に向けた最高の「強化月間」にする。6月4日のW杯最終予選オーストラリア戦を皮切りに公式戦が続くが、その直前の5月29日に国内で強化試合を行うことが決定的になった。日本協会関係者が明かした。

 国際Aマッチデーのフレンドリーマッチデーにあたる6月4日の場合、選手の拘束は試合2日前の同2日から。ただ、5月29日に試合を入れることで、クラブとの交渉は必要なものの、海外組も含め5月下旬から前倒しでの招集が可能。これにより、コンフェデ杯終了まで「長期合宿期間」を約1週間延ばすことができる。

 今年6月のW杯最終予選3連戦前に、国際Aマッチデーではない5月23日に強化試合を組み込み、海外組を早めに招集することができた。この前例があるだけに、体調や故障などの状況にもよるが、来年5月29日の一戦でも海外組を招集できるはずだ。

 日本協会関係者によると、既に同協会はJリーグ側とも調整を行い、J1は5月25日のリーグ戦を終えると早めに中断期間に突入する予定。日曜開催のJ2はリーグ戦が続くため、G大阪のDF今野、MF遠藤の前倒し招集はクラブとの交渉が必要になるが、許可さえ下りれば週明けの5月27日にはベストメンバーが集合できるようになる。

 アルベルト・ザッケローニ監督(59)は11月下旬にも「来年6月は長い間、合宿ができる」と期待を寄せていた。来年3月26日のW杯最終予選ヨルダン戦でW杯出場権を獲得すれば、5月29日の強化試合と6月のW杯最終予選2試合の計3試合は格好のテストの場になる。最高の準備を経て、強豪3カ国と対戦するコンフェデ杯で「ガチンコ勝負」を挑める。

 12月1日のコンフェデ杯組み合わせ抽選会後に、ザッケローニ監督は「強豪国とどうやって渡り合えるか。そういうところを追求したい」と明かした。コンフェデ杯はW杯本大会を1年後に控え、日本と世界との距離感を把握する上でも貴重な大会。1次リーグを突破すれば、さらに実戦が2試合増える。実戦と合宿を通してチーム力熟成、選手層強化を加速させる-。最終目標のW杯に向けて、長期合宿の意味合いは非常に重要になってくる。

 ◆今年の5月23日の強化試合

 日本代表は国際Aマッチデーではない今年5月23日にもアゼルバイジャンとの強化試合を行った。J1のリーグ戦が同25日と26日に入っていたため、25日に試合があったG大阪のDF今野、MF遠藤は招集せず、海外組はほぼ招集したが、所属クラブの日程などを理由に招集を回避された選手もいた。試合後は一時解散。海外組は26日、国内組はJ1リーグ戦終了後の27日、月末にACL決勝トーナメント1回戦を控えていた柏、東京所属の選手は試合後に順次再集合。6月3日のW杯最終予選オマーン戦に臨んだ。

 ◆国際Aマッチデー

 国際サッカー連盟(FIFA)が男女別に定めているもの。オフィシャルマッチデー(OMD)とフレンドリーマッチデー(FMD)の2つに分けられる。OMDは試合日の4~5日前までに、FMDの場合は試合日の2日前(48時間前)までにクラブ側が所属選手を代表チームに貸し出さなければならない義務が生じる。また、国際Aマッチに選手の招集を希望する場合、当該協会は選手の所属クラブに試合の2週間前までにその旨を通達しなければならない。