ザックジャパン困った!

 14年W杯ブラジル大会アジア最終予選最終戦のイラク戦(6月11日、アウェー)が、イラク国内で行われる可能性が急浮上した。最終予選前に国際サッカー連盟(FIFA)は、政情不安定な同国のホーム戦は、第三国で行うことを決めていた。だが、このほどイラクがFIFAとアジアサッカー連盟(AFC)にホーム開催を強力にアピール。当初の決定が覆る可能性があり、カタール・ドーハでの試合を想定していた日本にとって、大きな不安材料となる。

 厳しい一戦が組まれるのか。アウェーでは苦戦続きの日本が、最終戦をイラクのホームで戦う可能性が出てきた。

 イラクは、戦争やテロなど不安定な国内情勢を理由に、11年9月のアジア3次予選ヨルダン戦(イラク北部アルビル)以降、FIFAの裁定により、ホームの試合を禁止されていた。最終予選前、FIFAとAFCに対し、自国開催をアピールしたが一蹴され、最終予選ホーム3試合は、いずれもカタール・ドーハで開催している。

 しかし、ここへきて空気が変わってきた。FIFAは3月19、20日にスイス・チューリヒで行った理事会後「FIFA理事会はイラク協会から出されている『国際親善試合のホーム開催を再開する』という要求を承認した」と決定事項を発表した。これにより、同26日には首都バグダッドでシリア戦が開催され、トラブルなく終了した。

 今回のFIFAの判決は、親善試合限定のもので、最終予選など公式戦には当てはまらない。だが、イラクはシリア戦以降、再びFIFAとAFCに対して、公式戦のホーム開催を要求したという。日本協会関係者は「その情報は聞いているが、まだイラク遠征の準備はしていない。ドーハで開催される可能性が高いとみている。FIFAの判断が変われば、イラクのホームで戦うしかないが、簡単に決定が覆ることはないと信じている」と、祈るばかりだ。

 最終予選で日本は、ホームで3連勝と、圧倒的な強さをみせた。一方、アウェーでは、オマーンに終了間際のゴールで辛勝しただけで、ホームで6点差勝利したヨルダンに1-2で負けるなど、勝負弱さを露呈した。時差や気温差、慣れないピッチなど、環境の変化に苦しんだが、イラク開催になれば、さらに治安面にも神経をとがらせざるを得なくなる。空港、宿舎、練習グラウンド間の移動や、宿泊施設などのセキュリティーなど、選手の安全面を確保するには、相当な準備が必要になる。

 日本代表は過去、イラクと8度対戦しているが、同国国内では1度も戦っていない。U-23(23歳以下)、U-20、U-17など、各カテゴリーを含めても、アウェーでの対戦経験はない。イラク開催になると、首都バグダッドか、比較的治安がいいとされる北部の都市アルビルになる可能性が高いが、日本協会には同地のデータが全くない。今まで情報戦に関しては、他国を圧倒してきた日本だが、地域情報が入手できていないという現状も、不安材料の1つだ。

 ヨルダンに負け、不安な要素が増えた日本にとって、最後の最後に大きな試練が訪れるかもしれない。