<国際親善試合:日本2-1ニュージーランド>◇8日◇大阪・キンチョウスタジアム

 なでしこジャパン初招集のFW吉良知夏(22=浦和)とMF猶本光(20=浦和)が、鮮やかな代表デビューを飾った。先発の吉良は1点目の起点となり、後半途中出場の猶本は強烈なシュートを放つなど、待望の新戦力がキラっと光った。試合は日本(FIFAランク3位)がニュージーランド(同20位)に競り勝ち。女子W杯予選を兼ねる14日開幕のアジア杯(ベトナム)へ、最後の実戦を飾った。

 なでしこジャパンに待望の新戦力が誕生した。初招集で初先発となった22歳FW吉良は、先制点の起点となった。前半40分に相手ボールを奪うと、阪口、宮間を経由して高瀬のゴールを呼び込んだ。同6分には日本最初のシュートを放つなど、攻守に合格点のプレーを披露した。

 「緊張したけど、澤さんや川澄さんが声をかけてくれたので積極的にいけた。得点できなかったのは残念だが、ベトナム(アジア杯)までもう少し時間があるので、タイミングを合わせていきたい」

 今回の大阪合宿には普段から愛用する、運気をもたらしてくれる所属先浦和のチームカラーのサッカーボール形ピアスを持参。お気に入りの入浴剤も持ち込んで出番に備えた。

 20歳のMF猶本も負けていない。後半41分からデビュー。本来のボランチではなく右MFで登場、わずか50秒後に菅沢が決勝ゴールを決める幸運ぶり。「ミスを恐れずやれ」という佐々木監督の助言通り、澤や宮間ら大先輩と気後れすることなくパス交換。同43分には相手DFに正面からぶつかりながら右足でシュートを放った。4年前にU-17女子W杯で準優勝に導いた勝負度胸は本物だった。

 「短い時間だったけれど思いきりやれた。出場は4分だったけど、何もできずに終わったわけではないのでプラス」。後半13分から出場した18歳DF乗松を含めれば、初出場3人が雨の大阪で躍動した。

 佐々木監督は「吉良が攻守にわたって貢献してくれたのが大きい。体を張って守備で貢献してくれた。非常に評価できる」と絶賛。猶本には「(練習では)ボランチをやりながら、不慣れな右MFもやってくれた。可能性があることを示してくれた」と目を細めた。

 悲願の世界一を奪った前回W杯から3年。世代交代は停滞気味だ。戦術的にも指揮官が「後半は頭の反応が低下して穴ができた」と指摘したほど、真骨頂の短いパスが通らない場面が目立った。2連覇を狙う来年のW杯へ、予選となるアジア杯では出場権獲得は当然で初優勝がノルマとなる。16年リオ五輪、20年東京五輪へ、若きなでしこがキラッと光をともしてくれた。【福岡吉央】

 ◆吉良知夏(きら・ちなつ)1991年(平3)7月5日、大分・臼杵市生まれ。神村学園中等部から高等部に進学し、09年にU-17W杯に出場。ハットトリックも達成した。10年に浦和入りし、11年に9得点を挙げ、新人王を獲得。161センチ、55キロ。

 ◆猶本光(なおもと・ひかる)1994年(平6)3月3日、福岡県小郡市生まれ。小郡東野少年SC、FCリエートを経て09年から福岡AN。12年から浦和。12年のU-20W杯に出場。157センチ、50キロ。筑波大在学中。