サッカー女子のINAC神戸MF澤穂希(36)が、日本代表「なでしこジャパン」の今季初戦、国際親善大会のアルガルベ杯(3月4日開幕、ポルトガル)の代表に招集されないことが10日、分かった。強豪12チームが参加する同杯は、6月6日に開幕する女子W杯カナダ大会の前哨戦と位置付けられる重要な強化の場。「なでしこ-」を長年けん引してきた澤が目指す男女通じて初となる6大会連続のW杯出場が厳しくなってきた。

 「なでしこジャパン」をけん引してきた澤の力は、必要なくなったのか。関係者によると、日本サッカー協会が13日に発表するアルガルベ杯の代表メンバーに澤は入っていないという。ドイツや米国など強豪12チームが参加する同杯は、2連覇を狙うW杯の前哨戦。なでしこジャパン佐々木監督は、選手選考について「W杯でファイナルに行ける確率の高い選手を選ぶ。100%ではないけれど(アルガルベ杯後に)入れ替わるのは数%」と話しており、同杯での招集外は、W杯出場がかなり厳しくなってきたことを意味する。

 93年12月に15歳で日本代表デビューした澤は、W杯と五輪では代表漏れしたことはない。W杯には95年スウェーデン大会から5大会連続で出場。前回11年のドイツ大会では得点王とMVPを獲得し、初優勝の立役者となった。6月開幕のカナダ大会では、男女通じて世界初の6大会連続出場がかかっている。

 昨年5月の女子アジア杯では初制覇に貢献した澤だが、秋の仁川アジア大会では、若手の起用などを理由に佐々木監督から休養を命じられ、代表から漏れた。不在の間に、守備的MFにはフランス・モンペリエで活躍するMF宇津木や同僚のMF田中らが起用され、宮間(岡山湯郷)も攻撃的MFからコンバートされた。空中戦の強いMF川村(仙台)も台頭。澤は本番を想定した10月のカナダ遠征にも招集されなかった。

 所属するINAC神戸は昨季、リーグ連覇が3で途切れるなど苦戦。その中で自身のプレーの質を高めることは難しく、「もう代表のことは考えてないから。今の(チーム)状態では無理」と話したこともあった。集大成として臨んだ12年ロンドン五輪で銀メダルを獲得後、「いけるところまで頑張りたい」と、現役を続けてきたレジェンドが、日の丸を背負い続けられるかどうか瀬戸際を迎えている。

 ◆アルガルベ杯とW杯でのなでしこジャパン

 11年6~7月のW杯ドイツ大会でなでしこジャパン入りした21人のうち、同3月に開催されたアルガルベ杯でもメンバー入りしていたのは19人。アルガルベ杯でメンバー入りせずにW杯代表に選ばれたのはFW丸山とFW岩渕の2人。12年ロンドン五輪代表も登録18人中15人がその4カ月前に開催されていたアルガルベ杯の代表メンバーで、「滑り込み選出」はDF矢野、FW丸山、FW岩渕の3人だった。