<アジアCL:上海申花(中国)1-1鹿島>◇19日◇1次リーグ◇G組◇中国・上海

 【上海=菅家大輔】G組の鹿島が「アウェーの激闘」で代償を払った。ラフプレーの多かった上海申花(中国)に1-1で引き分け、1次リーグ1位突破を決めた。しかし、後半22分に激しい接触プレーでFW興梠慎三(22)が右胸を強打して、そのまま交代。骨折の疑いもあり、チームの初のアジア制覇はもちろん、21日にメンバー発表を予定している日本代表の6月のW杯最終予選にも影響が及ぶ可能性が出てきた。6月24日に決勝トーナメント1回戦が予定されている。

 まさかの光景だった。後半22分、接触プレーで相手に乗られるような形で倒れた興梠が、右胸付近を押さえて苦悶(くもん)の表情を浮かべた。1度は立ち上がったものの、直後にベンチへ向けて「ムリ」のサイン。ピッチに再び倒れ込むと、担架で運び出された。

 試合終了とともにチームドクターを伴い、救急車で上海市内の病院に搬送された。鹿島の鈴木満強化部長は「故障者を出さないことが1つの目標だったんだけどね…。(興梠)慎三はヒビか骨折かもしれないと聞いた」と険しい表情を浮かべながら話した。

 興梠は今季、開幕直後は不調で新人FW大迫に定位置を奪われながら、腐らずに練習を続けて奪回した。5月に入ると自慢の速さを生かし、無敗街道を突き進むチームに貢献し、16日の柏戦では豪快な2得点を挙げるなどの活躍。代表主力FW田中達也(浦和)が左太もも腱(けん)の故障で代表招集が厳しい状況で、6月にW杯最終予選3連戦を控えた岡田ジャパンの「救世主」と注目を浴び始めていた直後だった。

 この日の一戦は序盤から上海申花が反則に近い激しい当たりを連発。一触即発のムードが漂う展開だった。オリベイラ監督も「最初はいい試合だったけど、途中からはラフプレーが増えて早く終わってほしいと思った。故障者なしで帰国したかったが、最後に興梠が故障してしまった」と残念がった。G組自力首位突破で6月24日の決勝トーナメント1回戦をホームで戦える権利を得た鹿島にとっても、日本代表にとっても予想外の状況に陥ってしまった。