仙台の渡辺晋監督(41)が「3年後にJ1優勝」と“3カ年計画”の青写真を描いた。12選手が加入し、大きく入れ替わった1年目の今年は「勝ち点50」を目標に設定。2年目は「5位以上」、そして3年目の17年に「J1制覇」を掲げた。現実的な目標をもとに、確実にジャンプアップして、悲願の初タイトル獲得を狙う。

 ベガルタにとって新たな時代の幕開けだ。今季クラブ史上最大人数の選手が入れ替わり、生まれ変わろうとしている。初めてスタートから指揮を執る渡辺監督が力強く明確な方向性を示した。「3年後に優勝する。今年はその第1段階。勝ち点50を目指す」とはっきりとした口調で宣言した。

 選手には宮崎キャンプ初日の15日に伝えた。「いきなり勝ち点50点じゃ、そんなもの? と思われるかもしれないが、確実に星(タイトル)を取りに行く。付いてきて欲しい」と熱弁を振るった。

 昨季で言えば、広島が勝ち点50で8位。ある選手は「プロである以上、弱気に聞こえる目標を設定をするのはどうかと」と、戸惑いも感じたと明かす。だが渡辺流の哲学から生み出された“堅守賢攻”スタイルや、現キャンプでの指揮姿勢も選手たちの心を動かした。「分かりやすい指導をしてくれているし、実現したいと思う」「ナベさんの言うサッカーが体現できればいける」という声もある。

 新生ベガルタV計画は、前々監督の手倉森誠・現U21日本代表監督の「5年でACL」を参考にしたものだ。コーチとしてともに歩み「誠さんを間近で見て、目標を立てるのは大事だと思った」。手倉森時代は当時J2だったが、「今はJ1からのスタートでACLも出場経験がある。なので5年はかからない。自信はあります」と言葉に力を込めた。

 大目標に向けての船頭は野沢だ。手倉森政権では柳沢(現鹿島コーチ)だった。渡辺監督は「タイトルを取ってきた野沢や博文(渡部)がいる。特に野沢には、勝者のメンタリティーを植え付けてもらいたい」と期待する。開幕まで10日を切った。この日、「負けたくない。自分自身に」と居残りでシュート練習を行った野沢は「高みを目指さないといけない。開幕が楽しみでドキドキしています」と笑顔で話した。【成田光季】

 ◆手倉森誠監督時代の「5カ年計画」 08年に仙台の監督就任。当初から「ACL出場」と掲げ、1年目はJ2・4位で入れ替え戦に進出したが昇格はならず。2年目の09年にJ2優勝を果たし、J1昇格。3年目の10年は14位、4年目の11年は4位、そして5年目の12年、2位に躍進し、翌年ACLに出場した。