バルセロナから東京U-15むさしに移籍した13歳の久保建英(13)が、公式戦デビュー戦を勝利につながるゴールで飾った。3トップの右FWで先発してチームの2点目を奪い、後半21分までプレーした。

 U-15日本代表の韓国遠征が6月5日から始まるのを前に、注目の国内初戦だった。同代表の森山佳郎監督が久保のプレーを視察し、感想を口にした。

 森山監督 (東京は)中盤で距離を近くしながら、ボールを動かしながら、久保もよくボールを引き出せていたし、周りとの連係も良かった。周りの選手も、久保の出すタイミングや、パスの質を分かっていて、良さを引き出してあげるクオリティーのある選手がいたので、久保も孤立せずにやれたと思う。1対1ならかわす力があるが、厳しい1対2の場面では周りがうまくプレーに関われていたから、パスでもいなすことができた。前半は特にむさしのゲームだったと思う。

 試合は、東京U15むさしがオウンゴールによる1点リードで迎えた。そして前半37分、久保が鋭いゴールへの嗅覚を見せつけた。ショートパスをペナルティーエリア内で受けると周囲をちらりと見渡すや、すぐ右足に持ち替えてゴール右隅へ、正確にボールを蹴りこんだ。

 森山監督 (ゴールの瞬間は)ちょっとマリノスの選手が引いてしまっていた。ただ、建英に関しては、左を見せて右足で決めたので良かった。ああいう風に表と裏を持っていないと厳しいと思うので。左を蹴るぞと見せかけて、切り返して右足で決めて、面白いゴールだった。相手は分かったら表を防いでくる、裏を見せられたのは良かった。

 バルセロナが移籍問題でFIFAルールに抵触。その影響で公式戦への出場機会を奪われたことにより、10歳から過ごしたバルセロナを退団し、今春から東京U-15むさしに加入した。

 森山監督 今日見た限りでは周りとの連係も良かったし、動きの量もちょっと増えていた。向こう(バルセロナ)で1年間ほとんど試合をやっていないということで、運動量が懸念されていたんですが、実際に60分で疲れてしまったような感じだったんですけど、60分まではよく走って。そこから伸ばしていけばいい。徐々にコンディションを上げていければいい。ポジティブな面が見られたと思う。ポジションはかなり流動的な部分があって、外で受けたり、中で受けたりしながら、チャンスを作れていたのは良かった。

 来月4日で14歳になる久保。今回の韓国遠征に参加するU-15日本代表24選手では、唯一の中学2年生だが、期待に違わぬプレーぶりに、指揮官の手応えは上々のようだった。