日本代表のFW本田圭佑(28=ACミラン)が、欧州クラブを買収することが5日、分かった。来季オーストリア3部のSVホルンで、来週中にも正式発表になる見通し。自身がオーナーを務める所属事務所のホンダ エスティーロ(HONDA ESTILO)が運営する。3季後の1部昇格、さらには欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場が最大の目標になる。

 本田が欧州クラブ買収という、一大プロジェクトに乗り出す。今季オーストリア2部で10チーム中9位。来季は3部に降格するSVホルンの事実上のオーナーになることが判明した。欧州のリーグ事情に詳しい複数の関係者によれば、本田の所属事務所であるエスティーロが経営難の同クラブの運営権を取得。水面下で最終交渉が進んでおり、来週中にも正式発表になる可能性が出てきた。

 日本代表の現役選手が、欧州のプロチームを買収するのは極めて異例だ。現時点で買収額は不明。現地の関係者の説明では、クラブのトップはもちろん、頭脳となる強化部などフロント職もエスティーロ側から送り込むことが濃厚だ。来季15-16年のリーグ開幕は7月末で、正式決定後に日本人を含むアジア市場での選手獲得を目指す方針だ。商業面では日系企業や、アジアのマーケットの開拓、放送権取得にも乗り出すことになる。

 本田は小学生年代のサッカースクールであるソルティーロを全国49カ所に展開。昨年末にはバンコク(タイ)、今月2日にもホーチミン(ベトナム)でサッカー教室を開催するなど、子供たちの育成に力を注いできた。自身はオランダ・VVV時代に2部リーグを経験。3部クラブから欧州のトップを目指すのも“成り上がり”を経験した男らしい。現役選手として「W杯優勝」を目標とする一方で、育成ノウハウを駆使してSVホルンを強豪クラブへと成長させる。

 オーストリアのクラブを買収する背景には、EU圏外枠(外国人枠)の制限が事実上ないというメリットがある。一定数の同国出身選手を先発メンバーに入れていれば、欧州の他国リーグよりも、日本人やアジア選手を数多くプレーさせることができる。さらに10チームで争う同国1部リーグは2位までが欧州CL予選、3、4位が欧州リーグの出場権を得る。20クラブ前後が参加するプレミアやセリエAなどの欧州主要リーグに比べても、欧州の大舞台に立てる可能性が比較的高い。

 SVホルンは、最速で3季後の1部昇格、4季後の欧州CLなどの出場権獲得が最大の目標となる。本田は日本を世界一へと近づけるために、夢のプロジェクトを進める。