昨年まで東京Vでプレーした福岡MF鈴木惇(26)が古巣を相手に先制ゴールを決めた。

 前半ロスタイム。敵陣中央付近で相手のクリアボールを拾うと、利き足ではない右足を思い切り振り抜いた。「お世話になったという気持ちがあったし、21チームの中で1番勝ちたい相手。うれしかった」というミドルシュートがゴール右へ突き刺さると、喜びを爆発させ、ジャンプをしながら思い切り拳を突き上げた。

 試合は後半ロスタイムに追いつかれのドロー。「勝ちきりたかったですけど、お互い良さが出ていたのでドローは妥当かなと思います」と振り返った鈴木のもとに、試合後は東京Vの選手たちが次々に集まってきた。

 鈴木は福岡の下部組織育ち。昨年まで2年間、東京Vに移籍して初めて違ったサッカーを体験した。「ヴェルディに行ってなかったら今の自分はないと思う。見方によっては移籍が失敗だったと思う人もいるかもしれないけど、自分としてはアビスパじゃないサッカーを知ることができた。ヴェルディはボールを大事にする魅力的なサッカーで、勉強になった分、今日は負けたくないという気持ちがありました」。

 その経験を生かし、今季は復帰した福岡で21試合中20試合に出場し、18試合でフル出場。成長した姿を見せている。