流出危機に立たされていたG大阪のブラジル人FWパトリック(27)が、残留を表明した。第2ステージ(S)開幕となる今日11日の甲府戦(万博)に向け、10日は万博練習場で非公開調整。中東やJ1他クラブからオファーを受けていた助っ人は「(開幕前に)ハッキリしたい。自分の気持ちはガンバ」と宣言。年間王者に向け、頼れる点取り屋の残留が濃厚になった。

 「男気(おとこぎ)」の残留表明だ。今夏に移籍の可能性があったFWパトリックが、第2S開幕を前に去就問題に決着をつけた。甲府戦に向けた最終調整後にハッキリと言った。

 「日本のチームもそうだし、いろんなチームが興味を持ってくれた。でも(開幕前に)自分の気持ちはハッキリしたかった。僕にとっての家はガンバ。話し合いをしてきたが(G大阪の)社長も強化部も、僕の気持ちを尊重してくれた。ガンバでプレーしたいという第1希望がかなった」

 G大阪で活躍した歴代助っ人がそうだったように、中東クラブの強奪の“標的”になった。J1の他クラブを含め、複数のオファーが届いたという。パトリックの保有権は母国ブラジルのサルグエイロACが持つため、G大阪側や自身の意思だけでは決められない背景もあったという。まだ予断は許されないものの、近日中に正式に残留が決まる方向になった。

 仲間からの説得もあった。「(岩下)敬輔やヤット(遠藤)、宇佐美が『一緒にやろう。よそには行くな』と言ってくれた。今は移籍するタイミングではない。このクラブでまたタイトルが取りたいし、ACLで優勝したい。ガンバの歴史をつくるために残る」。

 日本代表FW宇佐美との2トップは、J屈指の破壊力がある。第1Sは全17試合出場4得点だが、その数字以上に存在感は大きい。第1Sは浦和に優勝を譲ったが、第2S制覇と年間王者へ。男気「パト砲」に導かれ、G大阪が逆襲に出る。【益子浩一】