ゴン中山が、現役復帰へ第1歩を踏み出す。元日本代表FW中山雅史(47)が、JFLに所属するアスルクラロ沼津の練習に参加することが4日、分かった。12年限りでJ2札幌を退団し、第一線から退いた後、主にサッカー解説者として活躍していたが、地元・静岡のクラブからラブコールを受けて実現。古傷を抱える膝の状態を確認しながら、選手として登録する可能性を模索することになった。

 ゴン中山がピッチに戻ってくる。JFLに所属するアスルクラロ沼津の練習に、中山が参加することが決まった。公式戦など試合ではない。それでも真剣勝負の場は、札幌を退団した12年末以来約2年9カ月ぶり。その間、胸の内に秘めてきたサッカーへの燃えたぎる思いを、まずは練習でぶつける。選手登録はまだされていないが、現役復帰を見据え大きな1歩を踏み出すことになった。

 プロではないアマチュアカテゴリーだろうが関係ない。サッカーができることに意味がある。同クラブは4部リーグ相当のJFLに所属するアマチュアクラブ。ラブコールを受け、ゴン魂に火が付いた。12年12月4日、札幌での退団会見で「私、中山雅史は今シーズンをもって第一線を退くことを決めました」とあえて封印した引退の2文字。古傷を抱える両膝はすでに限界を超えていた。衰えぬハートを抑えつけ、なおも「未練タラタラ」と言ったサッカー小僧のような思いは、今も同じ。しかし現役復帰への道は、そう簡単なものではない。

 両膝にあるはずの半月板と軟骨は、もうない。医者やトレーナーから状態を見てもらう度に「走ることさえ奇跡」と言われるほどだった。「X脚」を矯正し歩き方を変えることから始まった。膝に負担をかけないために、自転車でのリハビリ。所属するマネジメント事務所の一室で1時間近くこぎ、さらに筋トレ・ストレッチを含め約3時間の運動を、毎日続けてきた。解説などで海外に行った際も、宿泊先のホテルにあるジムで汗を流した。いつか戻る日がくるときのために、リハビリを続けてきた。

 今月23日に48歳を迎える。まずは練習で膝と気持ちの状態を確認してから、選手登録の検討に入る。常人ではありえないカムバック劇は、そこからようやく現実味を帯びていく。

<ゴン中山(中山雅史)の引退後>

 ◆引退 12年12月4日、当時所属していたJ2札幌で事実上の引退会見を開いた。その場で報告したFWカズから「カムバックすると心変わりしたら電話しろよ」と言われたエピソードを披露し、将来的な再起宣言をしていた。

 ◆解説者 13年3月からサッカー解説者及び評論家として活躍。同月には「ドーハの悲劇」以来20年ぶりにカタール・ドーハを訪れた。また今年3月には、ブラインドサッカーに挑戦。テレビ朝日系列「キリトルTV」では司会を務めるなど幅広く活動。

 ◆プレー かつて一緒にプレーした選手の引退試合やチャリティーマッチには、たびたび出場してきた。最近では7月5日に鹿島の中田浩二、柳沢敦、新井場徹の合同引退試合に出場。本人の引退試合は行っていない。

 ◆W杯 14年ブラジル大会に解説者として訪れた。選手として出場した98年フランス大会、02年日韓大会以来のW杯。

 ◆指導者 JFA公認指導者B級ライセンスをすでに取得している。現在A級取得のため受講中。