J2磐田が今日23日、大分市の大銀ドームで、J1自動昇格をかけたリーグ最終節大分戦に臨む。21日に敵地に乗り込み、22日は別府市内で最終調整した。就任2年目の名波浩監督(42)は、昇格を争う福岡を意識せず、自力で昇格を決めることを宣言し、選手を鼓舞した。

 練習を終えると、別府湾を臨むグラウンドの中央で、ミーティングが始まった。名波監督は「自分たち」と繰り返した。

 「外的なものは考えないで、自分たちがどうすればいいか。それにフォーカスして戦っていこう」

 大分に勝利し、J1自動昇格圏内の2位を決めるだけに集中すると力説。3位福岡とは勝ち点で並んでいる。得失点差5で優位に立っているが、福岡の結果もJ1昇格へ大きく関わってくる。それでも、「一発勝負。明後日からオフという気持ちで戦う」と力説した。

 この一戦には、リベンジの思いも込められている。昨季は4位でシーズンを終え、J1昇格プレーオフに回った。準決勝で6位山形と対戦。後半ロスタイムに相手GK山岸範宏(37)にまさかの決勝弾を許して1-2で敗退した。GKがヘッドで試合を決める劇的な結果は、世界中で話題になった。名波監督はその屈辱をあえて口にして誓った。「昨年、世界中に恥をさらしたチーム。それ(悔しさ)をぶつけます」。

 1年間の成長を証明する舞台だ。指揮官が掲げる「自ら仕掛けるアクションサッカー」の意識は、チームに根付いている。8月以降、クラブ新記録となる12試合負けなしで2位を守ってきた。「取り立てて、特別なことはしていない。年間を通してやってきたことをやればいい」。左ふくらはぎを痛めているエースFWジェイ(33)は、この日もウオーキングのみで引き揚げた。試合直前まで回復を待つというが、出場は難しい状況。代役が予想されるFW森島康仁(28)に加え、FW中村祐輝(28)も控えており、普段通りの戦術を貫く。

 J1復帰だけを目指して戦ってきた今季リーグ42試合目。清水J2降格決定で、「サッカー王国静岡」を守る重責も加わったが、この一戦ですべてをクリアにする覚悟だ。【保坂恭子】