J2札幌から東京に期限付き移籍中のU-22日本代表DF奈良竜樹(22)が、現所属の東京と、川崎FなどJ1複数クラブの獲得候補に挙がっていることが11日、分かった。札幌とは今季限りで契約が満了するため退団が決定。当初は東京に完全移籍の方向だったが、U-22代表での活躍などで注目度、評価が急上昇しており、複数の選択肢から移籍先を探すことになった。

 リーグ戦には出られなくても、確実に評価は上がっていた。奈良は東京に期限付き移籍した今季、日本代表の森重や、丸山、吉本らぶ厚いセンターバック陣の中、出場はゼロ(ベンチ入り10試合)だった。それでもU-22代表にも断続的に招集され、現在はカタール遠征に参加中。リオデジャネイロ五輪を狙える若手有望DFとして、一気にJ1複数クラブの獲得候補に浮上した。

 東京が既に完全移籍での獲得オファーを出しているが、奈良自身は五輪イヤーに向けて試合に出られる他クラブ移籍も考えており、その中で手を挙げたのが川崎Fだ。センターバックは小宮山、井川ら、経験豊富ながら既に30代の選手が多い。22歳と若く、4バック、3バックともにこなせ、対人の強さとビルドアップのうまさを兼ね備える奈良を評価している。さらに、札幌と同カテゴリーのJ2千葉も興味を示していることが、この日までに分かった。

 札幌と奈良の契約は今季で満了するため、他クラブが獲得する上での移籍金はない。ただ、札幌の下部組織出身のため、クラブに育成費が入る。北海道から完全に籍が離れてしまうのは札幌ファンには寂しいことだが、その代わり、最低でもクラブに、5000万円前後の資金が入ることになる。さらに、複数クラブが獲得に名乗りを上げたことで、“価格”は必然的に高騰することになる。

 奈良は昨年オフから一貫してJ1でのプレーを希望しており、現時点で東京と川崎Fがリードも、後は当人の意思次第。U-22代表のカタール遠征から戻ってから、すべてのオファーを精査し、代理人とともに、より良い移籍先を決めることになる。

 ◆奈良竜樹(なら・たつき)1993年(平5)9月19日生まれ、北見市出身。09年に札幌U-18入り。札幌国際情報高3年だった11年に2種登録され、10月8日天皇杯2回戦水戸戦で公式戦デビュー、同10月26日徳島戦でJデビュー。12年にトップ昇格。U-18、19、21日本代表を経験、今季は東京に期限付き移籍。J1通算22試合1得点、J2通算81試合無得点。180センチ、77キロ。DF。