年越しのクリスマスプレゼントで、常葉学園橘(静岡・東海第2代表)が強豪常盤木学園(宮城・東北第1代表)を撃破した。

 前後半合わせた80分間、走り抜いた。狭いスペースでもボールをつなぎ、キープ。横パスからリズムをつくり、何度も裏へ抜け出し、好機をつくり続けた。決着がつかずPK戦となったが、MF鈴木千尋主将(3年)は「PKになれば勝てると思った。みんなで勝った試合」と先攻で重圧をかけ続け、7人目までもつれた勝負で勝ちきった。

 クリスマスの涙が力になった。昨年の12月後半に強化遠征を実施。十文字(東京)との練習試合で1-3で完敗すると、半田悦子監督(50)からカミナリが落ちた。「あんたたちこれじゃあ絶対に勝てない」。モチベーションの低さ、動きの緩慢さ、勝利への執念。さまざまなことを指摘された。この一言でチームが引き締まった。鈴木は「みんなでボロボロに泣きました」と振り返る。ちょうどクリスマスの日。赤鼻のトナカイのようになるまで号泣した。ショック療法は成功した。「でもそれで団結力が出た。もうそんなことは言わせない、言わせたくないって」。次の日から目の色が変わった。

 この日、格上を撃破し、半田監督は「まだ夢を見ているよう。でも次があるから。しっかり引き締めないと」と選手の成長に目を細めつつ、手綱を引き締めた。試合後、鈴木主将はこっそりクリスマスの夜の願いを明かしてくれた。「サンタさんにはみんなで勝ちたいってお願いしました。これからも1試合ずつ勝っていきたい」。涙を力に変えた常葉学園橘イレブンが快進撃を続けていく。