プロ野球巨人のユニホームブランド「アンダーアーマー」を日本で展開する株式会社ドームの安田秀一社長が13日、福島県いわき市にサッカーJ1を目指す「いわきFC」を立ち上げ、都内で記者会見を行った。

 野球界だけでなく、サッカーチームの運営にも乗り出したドーム。福島県2部リーグだった既存の「いわきFC」と合流し、最速でのJ1昇格を目指す。

 巨人との契約は昨年から5年間で約50億円規模と言われている。今春いわき市にオープンする物流の拠点「ドームいわきベース」は約100億円を投じた。その拠点とともにサッカーチームを発足させ、スポーツで地域を復興、発展させていく。

 「いわきFC」の初年度の予算は2、3億円。将来的には「ブンデスリーガーのチームと対抗できるような100億円クラブを目指す」と安田社長。「いわきベース」とサッカーチームで100億円以上の投資だが「100億円で夢が買えたら安いものです」と笑った。「遅れている」という日本のスポーツ産業を欧米並に発展させたい強い思いがある。

 安田社長はいわき市を選んだ理由について「震災1週間後に支援物資を持って行ったのがいわき市小名浜だった。ガソリンがなく、そこまでしか持って行けなかった。私たちはサプリメント事業もやっていたので、そのようなものも喜ばれた」と語った。

 さらに続けて「震災直後、外資系企業は逃げたんです。でも本当は(被災地を)助けないといけないでしょ。当時、『自分に出来ることをやろう』とかみんな言ってたけど、次にやったこと、がれき受け入れの拒否。日本人の醜いところを見た」と復興への熱い思いを語った。

 安田社長は「ただ強いチームではだめ。お金を生み出し、雇用を生み、地域の子どもたちに還元していく仕組みにしないと」と語る。将来的にはサッカースタジアムを、いわき市中心部に建設する考えだ。「最初は5000人規模でもいい。拡張するスペースさえ確保しておけばいい。将来的にはスタジアムに遊ぶ場所、飲み屋、託児所などを入れて複合総合施設にしたい」との目標がある。

 現在の東北一の都市は仙台市だが、安田社長はサッカーを通じて、いわき市を東北一の都市にしたいと考えている。

 会見にはチームを運営するいわきスポーツクラブの社長に就任した、前湘南社長の大倉智氏と、この日就任が発表された元オランダ代表で広島でプレー経験があるピーター・ハウストラ監督も同席した。