元日本代表監督で、四国リーグFC今治のオーナー岡田武史氏(59)が、日本サッカー協会の副会長に就任する可能性が高いことが23日、分かった。3月に日本協会が発足させる田嶋幸三新会長(58)による新体制の目玉人事になる。岡田氏は、非常勤で代表チームの強化や国際業務などを担当するとみられる。日本代表の現場最前線でキャリアを積んできた「岡ちゃん」が今後はフロントに入り、日本サッカー改革に貢献する。

 育成日本復活、代表のさらなる強化へ、強力な助っ人が加わる。1月31日の評議員投票で、次期日本協会会長に選出された田嶋副会長が、旧友の岡田氏に白羽の矢を立てた。国際業務や代表チーム強化、若手育成などを統括する副会長としてオファーを出した。岡田氏の豊富な人脈、現場知識、FC今治オーナーとしての経営能力とチャレンジ精神などが高く評価された。

 日本協会幹部は「まだ正式な返事はもらってないようだが、岡田さんも前向きに検討しているようだし、副会長就任に支障はないと思う」と話した。「岡田副会長」は、3月10日の理事会で現理事の承認を得た上で、同27日に開かれる評議員会で承認されて、正式誕生となる。

 岡田氏は現在、別の仕事も抱えていることから、当面は非常勤になる。今後の展開次第では常勤に切り替わる可能性もあるが、非常勤でも積極的に改革を主導する運びとなりそうだ。田嶋新会長が、国際サッカー連盟(FIFA)理事も兼務することから、日本代表を含む国内サッカー全般は「岡田副会長」が深く関わることになる。当然、W杯後の代表監督人選、若年層の育成システム改革、Jリーグのシーズン制移行など、多方面のプロジェクトリーダーとして、積極的に主導していくことになる。

 岡田氏は、日本サッカーリーグの古河電工で現役を引退し、同チームのコーチに就任。その後、ドイツにコーチ留学した際に、現地に滞在していた田嶋氏のアパートに居候した縁から、関係が深まった。今でも高い頻度で連絡を取り合う中で、お互いの信頼は深い。

 日本代表監督として2度(98年フランス大会、10年南アフリカ大会)W杯アジア予選を突破し、本大会で指揮を執るなど、指導者としては日本人トップの実績がある。元イタリア代表監督のリッピ氏、アーセナルのベンゲル監督、来季からBミュンヘン監督に就任するアンチェロッティ氏らとも直接連絡を取り合うなど、世界的に広い人脈も持つ。その貴重な経験も還元される。日本サッカー界のため、田嶋-岡田の強力タッグが結成される。

<岡田氏が携わりそうな業務>

 一般的なタイミングとして18年W杯ロシア大会の後、22年カタール大会に向けた新監督を選ぶ作業がある。ドイツ留学や2度のW杯出場で培った世界的コネクションを武器に、強化担当技術委員長と連携して人選を進める。早ければ自国開催の20年東京五輪の監督選びにもかかわる。

 監督選考と同様、海外との太いパイプを生かして対戦をまとめる。日本協会は「JFAの目標2030」で、30年までのW杯4強入りを掲げている。そのための強化として強豪国との定期的な対戦は不可欠。高い情報収集力、調整力が求められる。

 新会長予定者の田嶋氏は選挙公約で「育成日本復活」と訴えた。4大会連続でU-20(20歳以下)W杯出場を逃している若年層を鍛えるため、トレセン、エリート養成システムの機能、精度を高める方法を模索する。

 田嶋氏は私案として19年の実施を提案。現行の春秋制から欧州各国が採用する秋春制へ移すため、Jリーグや積雪地帯など地方との交渉役が必要になる。