J2札幌が2-0で難敵の清水を下し、アウェーIAIスタジアム日本平での公式戦連敗を9で止めた。前半22分にDF福森晃斗(23)のCKが清水のオウンゴールを誘って先制。同34分には再び福森のFKがポストに当たってはね返り、FW都倉賢(29)が押し込んだ。開幕から3試合無失点だった清水ゴールをこじ開け、8位から6位に順位を上げた。次節京都戦での今季ホーム初勝利に向け弾みをつけた。

 1-0の前半34分、ペナルティーエリア手前でのFKのチャンス。DF福森がボールを置くと、DF進藤が歩み寄ってきた。「福さん、蹴らしてください」。4歳年下の訴えを、聞き流した。清水の壁を確認し左足を振りきると、ボールはゴール右のポストをたたいた。はね返りをMF深井が頭でシュート。相手GKがはじいたところを、FW都倉が決めた。「(進藤が)声をかけてきましたけど、それは無視しました」。ヒーローはニヤリと笑った。

 譲るわけにはいかなかった。Jリーグ初得点は、14年11月の清水戦だった。「一生忘れられないゴール。同じ相手から、もう1度決めたい」と、強い思いで臨んだ。相手GK西部は川崎F時代のチームメートで、「直接決めたかった」。わずか数センチで直接ゴールはならなかったが、1点目のCKを含め、左足から2点をお膳立てした。FW都倉は「安定した軌道で同じ質のボールを蹴れるので信じていた」と、得点シーンを振り返った。

 この日の2点は、札幌にとっては明るい材料だ。昨季の48点中、PKを除くセットプレーからの得点は、J2ワーストタイの8だった。昨季昇格を果たした大宮が16、磐田は24、福岡は26点。欠場中のMF小野が復帰すれば、左右の2枚看板となり、さらに脅威が増す。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、両こぶしを握りしめた四方田修平監督(43)は「セットプレーがらみから2点取れたのが大きな力になった」と、勝因を分析した。

 次節は、11年8月に函館で勝利して以来、1分け6敗と勝ち星がない京都をホーム札幌ドームで迎え撃つ。「J1でもおかしくない相手を完封し、複数得点で勝てた。今日みたいな試合で、ホームの皆さんをワクワクさせたい」と福森。日本一の富士の裾野で神々しく輝いた福森の左足が、札幌をJ2の頂へと誘う。【中島洋尚】

 ◆札幌の天敵 Jリーグ時代を含むJ1、J2のリーグ戦で、10試合以上対戦して未勝利なのは、横浜(1分け9敗)と川崎F(3分け13敗)のみ。1勝なのが鹿島(1勝1分け8敗)で、20日の白星で清水とは2勝1分け8敗となった。