J2清水がアウェーで山形を1-0で下し、3試合ぶりの白星を挙げた。前半32分、今季初先発のFWデューク(25)が先制弾。これをチームが守りきった。同試合でJ2通算250試合目(J2では7人目)の小林伸二監督(55)は前節からスタメン3人を変更。最近2試合は無得点だったが、節目の試合を勝利で飾り、再びJ1昇格へのムードを高めた。

 助っ人FWが、小林監督のメモリアルゲームに花を添えた。前半32分、デュークが右クロスをトラップし、右足でシュート。「相手から離れた場所に打った」シュートはバウンドしながらゴール左隅に吸い込まれた。昨年5月10日のJ1神戸戦以来321日ぶりのゴールが値千金の決勝弾。ユニホームの腹部にボールを入れ、来月誕生予定の第1子に向けたパフォーマンスで喜びを表現した。

 指揮官の采配が的中した。前節札幌戦から先発3人を変更。代わって入ったデュークとMF竹内涼(25)MF沢田崇(24)の3人は今季初先発だった。同監督は「前の試合で点を取れずに負けたので何かを変える必要があった」。けが人以外でのメンバー変更は今季初めてだった。開幕から4試合中3試合で無得点だった攻撃を活性化させるために先発をてこ入れした。

 小林監督は「練習で適当にやる選手は使わない」を信念にしている。実績のある選手や外国人も特別扱いはない。デュークもその1人だった。開幕から調子が上がらない状態を見て、トラップの位置やシュート時の足の振り、背後への飛び出しなどの基本技術を徹底させた。「しなやかな選手になれ」と言い続け、時にはデュークの通訳にも声を荒らげながら指導。若手のみの練習にも参加させたことがあった。

 これまで力任せのプレーが多かったデュークだが、最近の練習ではしなやかな動きが増え、味方を生かす繊細なパスも出せるようになった。助っ人の活躍に小林監督も「今日はスムーズな動きでよかった」と目を細めた。

 この日は左足小指の骨折で戦線離脱していたFW鄭大世(32)が復帰し、守備陣も今季4度目の無失点を記録した。だが、現在清水は勝ち点8で9位。次節アウェーで1位熊本、ホームで2位C大阪、6位讃岐と上位チームとの対戦が続く。「気を引き締めてやりたい」。小林監督は巻き返しへ、強い決意を示した。【神谷亮磨】